「薬・薬連携」とお薬手帳

コラム No.105 2009年発行

 聞き慣れない言葉だと思いますが、病院の薬剤師と保険薬局の薬剤師との間で、患者さんの薬に関する情報の共有を目指した連携のことです。今は院外処方箋が普通になっていて、外来の薬は保険薬局から、入院した時の薬は病院内の薬局からだされることが多くなっています。また入院時に外来で使っていた薬を持ち込んで入院中も継続する場合も増えています。病院の薬剤師は持参された薬があると、その種類・数・日数などをチェックして医師に報告し、継続して使うのか、新たに処方するのか等の判断の基になる情報を提供します。この時役に立つのが処方記録が記載されたお薬手帳や、薬局で配布する薬剤情報提供用紙です。
特に外来で通院している病院・診療所以外の所に入院する時は非常に有用です。逆に保険薬局では退院時の薬の情報がなかなか入手出来ないという現状があります。そこを改善しようと病院でも退院時に薬剤情報提供用紙と一緒にお薬手帳に記録する病院も増えてきています。情報提供用紙はなかなか持ち歩きにくい物ですが、お薬手帳なら診察券や保険証と共に携帯しやすく持ち歩きに便利です。皆さんも万が一入院というようなことがあったらお薬手帳を持参し、退院する時には病院の薬剤師からお薬手帳に記録して貰い、その後の外来受診の時医師や薬局に手帳を提出すると、薬の情報がスムーズで正確に伝わります。

 保険薬局では薬剤師がお薬手帳を調剤のたびに確認しています。処方箋の受付時に手帳を一緒に出して頂くと、当日の調剤内容を記録してお返し出来ますし、複数の薬剤師でより確実なチェックができます。また二つ以上の診療科や、複数の病院などにかかっているときは、医師にも手帳を見せ、診察や処方の参考にして貰うと良いでしょう。
またお薬手帳は2冊以上に分けたりせずに、薬の情報が全て分かるように一冊にまとめるようにしましょう。お薬手帳を上手に使ってお薬を安全に使いましょう。
                                                      薬剤師 小野 正一