乾燥肌にご注意

コラム No.107 2010年発行

 こよみの上では春ですが、北海道はまだまだ寒い時期が続きます。冬から春にかけてのこの時期は、特に肌が乾燥するという方も多いのではないでしょうか?

 寒い季節は、空気の乾燥に加えて暖房などによる皮膚の乾燥が進みます。また、気温が低いと新陳代謝が低下して、皮脂腺や汗腺の働きが悪くなり、皮膚の保湿機能が低下します。そのため、外部からの刺激を受けやすくなり、かゆみが出るのです。かゆみが出た時は掻いてしまわずに、一時的に冷やすなどしてかゆみが治まるのを待ちます。また、入浴時に強くこすると皮膚の乾燥の原因となるため、注意しましょう。

 皮膚の乾燥を防ぐためには、保湿剤を使って皮膚表面の保湿機能を補います。保湿剤には様々なタイプがあるため、使い心地など自分に合うものを選ぶとよいでしょう。
使い方としては、入浴後すぐの皮膚がしっとりしている間に塗るのが効果的です。かゆみが治まっても、良い皮膚状態を保つために保湿剤を使い続けましょう。しかし、保湿剤を使用しても皮膚状態がなかなか改善しなかったり、悪化してしまうような場合には、皮膚科の専門医を受診することをおすすめします。

 日常生活で注意したいことは、室内の温度や湿度です。暖房は皮膚が乾燥しやすいため、設定温度を高くしすぎないようにします。また、湿度が低いと室温が高くなっても暖かく感じにくいため、更に暖房して乾燥しやすくなる、という悪循環になります。部屋の湿度は50%程度に保つとよいでしょう。
 室内の乾燥対策としては加湿器を用いるのが一般的ですが、もっと手軽に出来る方法として、部屋に洗濯物を干したり、濡れたタオルを干すのがおすすめです。洗濯物の部屋干しは、室内の湿度を 10%程度上昇させるといわれています。その他、ストーブの上にやかんを乗せておくというのも昔からとられている方法ですね。

 暖かい季節がくるまでのこの時期、上手に乾燥対策をして快適に過ごしましょう。

                                                     薬剤師 木下 育絵