ドーピングについて

コラム No.108 2010年発行

 今年は冬のオリンピックが開催され大いに盛り上がりましたが、6月はアフリカで初のサッカーワールドカップが開催されます。応援も楽しみですね。

 皆さんは「ドーピング」という言葉を聞いたことがありますか?ドーピングとはスポーツ選手が競技能力を高めるために薬物などを使用することで、ルールで禁止されています。ドーピング検査で禁止物質が検出されると、治療目的の薬物であっても失格になる事があります。

 ドーピングは競技者の健康を害する事やフェアプレーの精神に反する事、反社会的行為であるなどの理由で禁止されています。

 ドーピング検査は一般的には、尿や血液を採取して調べます。

 禁止物質は沢山ありますが、代表的な物として蛋白同化男性化ステロイド薬(筋肉増強剤)などのホルモン剤、一部の利尿薬などが対象となります。

 カフェインは2004年以降の禁止物質からはずれています。お茶やコーヒーに特別の注意をはらう必要はなくなったといえます。ただしカフェインは監視対象としてモニターされ、その結果によって再び禁止される可能性もあります。

 市販薬にも禁止物質は含まれています。例えば総合感冒薬や葛根湯などの一部の漢方薬には、エフェドリンという咳止めや鼻づまりをとる効果がある成分が含まれている物もありますが、これは興奮作用があり禁止物質とされています。また市販の胃腸薬の中には禁止物質の興奮薬ストリキニーネ(ホミカ)を含むものもあります。病院で医師が処方する治療薬にも禁止物質があります。例えば一部の喘息の内服薬・吸入薬、痛風の薬、一部の高血圧の薬などです。

 スポーツ選手は日頃から怪我や食事の栄養バランスに気をつけている事と思いますが、市販薬や栄養補助食品、サプリメントを使用する際には必ず成分を確認し、ドーピングに詳しい医師・薬剤師等に相談することが必要です。健康に気をつけてスポーツを楽しみましょう。
                                                    薬剤師 鹿田 幸毅