寒い季節の入浴の楽しみ方

コラム No.111 2010年12月発行

 寒くなると温かいお風呂が恋しくなりますが、冬は夏に比べて入浴中の事故により救急車で運ばれる件数が実に4、5倍も多いことを皆さんご存知ですか?そこで、安全に入浴を楽しむためのコツを紹介します。
 冬季間は、湯船に入った時、室温との温度差が大きいと急激に血圧が上がり、脳出血、不整脈、立ちくらみなどがおこりやすくなります。あらかじめ浴室や脱衣所を暖めておくとよいでしょう。また、お湯の温度も40度を超えない程度のぬるめにすると、心臓などへの負担も少なく、徐々に血管が広がるので体が奥のほうから温まります。お湯に入っている時間も、長すぎると体の負担になるので注意しましょう。
 運動の後は、30分から1時間ほど時間をあけてから入浴すると筋肉の疲労回復に効果的といわれています。 また、食事のすぐ後の入浴も消化が悪くなるので少し時間をあけたほうがいいでしょう。飲酒後は血管が広がるので入浴により血圧が下がったり、体内の水分が不足して脳梗塞を起こしやすくなります。また、浴槽で眠っておぼれることもあるので危険です。
 「冬至にはゆず湯に入る」という昔からの習慣があるように、入浴剤には香りでリラックス効果をもたらすのと同時に、血行促進作用により体を芯から温める効果があるといわれているので試してみるのもいいでしょう。
 高齢の方のいる家庭では、転倒しないように注意工夫することが大切です。また、入浴中も家族が声をかけるなど安全に気をつけることによって事故を未然に防ぎ、安心して入浴を楽しむことができるでしょう。

薬剤師 在原 晶子