歯磨きのタイミング ご存知ですか?
コラム No.122 2012年9月発行
歯磨きは‘食後すぐに3分間’といわれてきましたが、食後30分ほどおいてからの方がよいということが新聞などで話題になりましたのでご紹介します。
酸性の飲食物を摂取すると口の中は酸性に傾きます。歯質はpHが5.5を下回る酸にふれると溶け始めます。通常は唾液が酸を中和して口腔内を中性に戻すとともに、唾液に含まれるカルシウムなどが、溶けた歯質を修復(再石灰化)してくれますが、個人差があり数十分かかります。食後すぐに歯をゴシゴシ磨くと溶け始めた歯質を削り取りかねないため、30分ほど時間をおくのが安全というわけです。
酸性の食品を避けたいところですが市販の飲料や調味料、果物など実に多くの食品が酸性をおびています。pH5.5以下のものとして、コーラ、栄養ドリンク、スポーツドリンク、乳酸菌飲料やビール・日本酒・梅酒などの酒類、ビタミンCが豊富なレモン・グレープフルーツ、調味料ではポン酢やしょうゆなどがあげられます。
このように食事や間食、飲料を摂取するたび口の中は酸性に傾くため、ダラダラと長い時間をかけて食事をしない・寝る前の飲食はしない(寝ている間は唾液の分泌が少ないため)など食習慣を見直してみましょう。
なお、虫歯や歯周病予防には細菌などの住みかである歯垢の除去が必要ですが、1日1回の歯磨きでは落とせないため毎食後と寝る前の歯磨きが理想的です。歯ブラシで取りきれない汚れを取るための定期的な歯科受診もおすすめします。
※pH7.0 未満が酸性です
(薬剤師 斉藤 恵子)