被災者によりそった復興を

コラム No.125 2013年5月発行

2011年3月11日に起きた東日本大震災から2年が経ちます。
被災地では復興が進んでいる地域と、今も無残に地震と津波の爪あとが残されたままの地域とが混在しています。また、街並みの復興は進んでいても、被災者の生活再建はまだまだ厳しい状況です。「避難所生活から抜け出す目処が立たない」「仕事を探しているけれど今住んでいる場所から遠く、通うことも引っ越すこともできない」「非正規の短期雇用ばかり」などの困難を多く抱えています。
福島原発の事故も収束していません。住み慣れた土地を離れ、いつ帰ることができるかもわからずに、避難生活を余儀なくされている方が16万人もいます。健康への不安だけでなく、中小企業や農漁業も深刻な状況に置かれています。
「除染作業で集めた枯葉や土を川に流していた」というニュースは記憶に新しいと思います。これは「除染ビジネス」と呼ばれ、大手ゼネコンからの下請け業者が、利益を優先して専門的な知識も持たずに行っていたことが明らかになったものです。
私たちの薬局が加盟している全日本民医連は、健康相談やいこいの場を作るお茶会ボランティアのような被災された方々に寄り添う様々な活動を、地域に密着して現在も行っています。
震災後の支援の中で寄せられる住民の方々の声は切実です。生活再建と放射能汚染の不安解消に向けた、国や自治体の姿勢が問われています。
震災から2度目の冬を迎え、もうすぐ春が来ます。人間の復興を中心にした被災地の再建で、あたたかな花を咲かせたいものです。

(事務員 吉岡 俊介)