TPPと薬・医療のはなし

コラム No.128 2013年6月発行

TPPとは太平洋周辺の国々が関税をなくして自由に貿易できる経済連携協定のことです。
経済規模で比較すると、もし日本が参加すればアメリカ60%、日本20%と二つの国で全体の80%を占めることになります。
ほぼアメリカが交渉相手となり、アメリカの都合の良いように貿易自由化が推し進められる危険性があります。
TPPに参加すると何がどう変わるのでしょうか?
よく取り上げられるのが農業です。関税を撤廃することで安い海外の農産物が輸入され、日本の農業が成り立たなくなると言われています。
その他にも食糧自給率低下の問題やポストハーベスト農薬(日本では禁止されている収穫後の防かび剤)が散布された物が出回るなど安全性の問題も忘れてはいけません。
では、薬の値段はどうなっていくのでしょうか?日本で使用されている薬の値段はアメリカと比較すると日本の方が安いとの調査結果が出ています。
TPPに参加すると薬の値段を規制するルールの緩和・撤廃により、平均1.3倍も高いアメリカの値段に合わせるように要求してくる可能性があります。
また、医療についても保険診療と保険がきかない自費診療(10割負担)を組み合わせた混合診療が導入されます。的医療保険でまかなえる範囲が狭まった結果、自己負担が増大し、民間の保険に入っていなければ適切な医療が受けられなくなる可能性があります。
経済格差による医療格差が広がり、結果的には国民全体の健康が守られなくなります。


私たちの薬局は「無差別平等の医療・福祉を実現する」ことを目的とした全日本民医連に加盟しています。
日本が世界に誇る国民皆保険制度を堅持し、誰もが安心して利用できる医療制度・社会保障制度を守るためにもTPP 参加・交渉を認めるわけにはいきません。
今一度TPPについて考えてみませんか?

菊水ひまわり薬局(事務長 丸山  顕一)