薬害について
くすりには、効果を期待する作用(主作用)と望ましくない作用(有害作用=副作用)があります。
有害作用の情報が軽視されたり隠されて使用されたこと等により引き起こされた健康被害のことを「薬害」と言います。
日本では、1956年のペニシリンショックから始まり、現在までサリドマイド、スモン、HIV 感染など20以上もの薬害があり世界最大の薬害発生国です。
厚生労働省は裁判において「二度と同じ過ちを繰り返しません」と言いながら、薬害は何度も繰り返されてきました。
薬害が発生する社会的構造として、安全性を軽視し利益優先の製薬企業の姿勢や、政治献金や天下りを許し製薬企業の言いなりとなり、チェック機能を果たさない薬事行政などがあります。
厚生労働省は、1999年8月24日、薬害エイズ訴訟の和解をきっかけに厚生労働省の敷地内に「薬害根絶の碑」を建てました。
そこには「命の尊さを心に刻み、サリドマイド、スモン、HIV 感染のような医薬品による悲惨な被害を再び発生させることのないよう医薬品の安全性・有効性の確保に最善の努力を重ねていくことをここに銘記する」と書いてあります。
この誓いの碑をシンボルとして、国や製薬企業が国民一人ひとりの命を大切にしているか、患者の人権を尊重しているか、医薬品の危険性に注意を払い適切な対応をとっているかなど、絶えず厳しい監視の目を向けていくことが、薬剤師のみならず医療従事者の重要な役割です。
薬害を未然に防ぐためにも、服用しているくすりに関心を持ちましょう。
くすりの効果、主な副作用、飲み合わせ等、気になることがありましたら薬剤師、または処方医に相談しましょう。
一つの質問が薬害から身を守ることもあります。
お薬手帳を活用することにより、服用している薬品や発生した副作用について継続して記録することも大事です。