難病とされた疾患すべてを公費負担で

コラム No.139 2015年7月発行

難病の助成制度とは、要件を充たす難病を「指定難病」とし、その指定難病の患者に対し、国、都道府県で医療費を助成する制度です。平成27年1月から新制度が始まり助成の対象が300疾病まで拡大されます。ただし原因が不明で治療法が確立されていないが患者数が多い疾患や、診断基準が確立されていない疾患は、現時点では指定難病にはなっていません。また薬局では薬代がこれまでかからなかった患者さんにも一定の自己負担が生じるようになり、助成範囲は広がるが負担は増える内容となりました。


【新制度要点】

  • 現在、指定難病の患者さんで健康保険証の負担割合が1割の方は1割のままですが、他の負担割合の方は2割負担となります。
  • 指定難病の特性に配慮し、外来・入院の区別を設定しないで、世帯の所得に応じた医療費の月額自己負担上限額が設定されます。
  • 自己負担上限額は、受診した複数の医療機関などの自己負担をすべて合算した上で適用されます。

助成範囲が広がったが逆に負担が増えることについて国は「新たな自己負担上限額は、他の制度との公平性の観点から、障害者の自立支援医療を参考にして定められており、これまで助成を受けてきた方の中には負担が増す場合もありますが、助成対象の疾病を広げるなど、助成制度が患者さんやご家族のニーズにより合ったものになる」と説明しています。限られた社会保障財源の中で広く薄く助成するということなのでしょうが、はたしてそれが患者さんや家族のニーズに合った制度なのでしょうか。
 難病患者の多くは、通院・入院・検査・薬代などたくさんのお金がかかります。友達や仕事の同僚など周囲の人たちに病気を理解してもらえない不安や治療のため仕事を休んだり、辞めざるを得なかったりと生活や精神的にも安定していない傾向にあります。患者数や病名で線引きをせず、医療費を心配することがなく安心して医療を受けられるよう難病とされた疾患はすべて無料・公費負担とすべきではないでしょうか。


〈患者さんへのお願い〉

使い終わった自己負担上限額管理票は次回の更新手続きに必要なので大切に保管してください。

室蘭ひまわり薬局(事務長 宮津  了太)