八十八夜
コラム No.144 2016年5月発行
「夏も近づく八十八夜~♪」
立春から数えて八十八日目を「八十八夜」といい、今年は五月一日にあたります。八十八夜は春から夏に移る節目の日、夏への準備をする決まりの日、縁起のいい日とされてきました。この頃から安定した気候になり、新茶の摘み取り作業は最盛期を迎えます。特に八十八夜に摘み取られるお茶は、古来より不老長寿の縁起物の新茶として珍重されています。新茶は二番茶、三番茶よりもうまみ成分のテアニンを多く含んでおり、若葉のようなさわやかな薫りと、まろやかな甘みをともなう濃厚な旨みが魅力です。
さて、緑茶にはどんな成分が入っているのでしょうか?ここでいくつか紹介します。
お茶に多く含まれているというカテキン類は殺菌作用や抗ウイルス作用が有名ですが、他にも細胞の突然変異を抑える働きがあることが証明され話題になりました。カフェインには覚醒作用、強心作用、利尿作用があり、ビタミンCを始めとしたビタミン類には身体の調子を整える様々な働きがあります。ミネラルも豊富に含み、体内の酸性化を防ぎます。フラボノイドやフッ素も含まれ、カテキンと合わせて口臭や虫歯の予防に一役かっています。他にも成人病の予防にいいと言われる成分がいくつか含まれています。
この時期のお茶は、秋からひと冬越えて蓄えられた栄養がたっぷり詰まっています。ゆったりとくつろいで、飲みたいものですね。
(薬剤師 澤谷 真希)