考えてみませんか?エネルギーのこと

コラム No.150 2017年5月発行

発電風車のイラスト

地球温暖化や原発事故などを契機として、原子力発電に頼らない自然エネルギーへの関心が高まっています。
自然エネルギーとは再生可能エネルギーともいい、太陽光や風力、地熱など自然環境の中で繰り返し得られるエネルギーをさします。発展途上国では「再生可能エネルギー 150%」のパラグアイをはじめとして、再生可能エネルギー 90%以上の国がいくつもあります。他にも2015年時点でアイスランドは90%、ノルウェーは44%、ブラジルは40%と、世界各国は再生可能エネルギーにシフトしてきています。

 

日本はまだ5%と比率は低いですが、日本の再生可能エネルギー発電技術の進歩はめざましいものがあります。太陽光発電でのソーラーシェアリング(別名「営農型太陽光発電」:ソーラーパネルの下で農作物を育てる技術)、食品廃棄物からのバイオマス発電など、様々な発電が行われています。頭痛や吐き気を引き起こす低周波問題が騒がれていた風力発電も、発電所の場所を人家から遠ざけることで改善されました。また発電所の数も年々増加し、2016年には1000か所以上となっています。


発電会社の形態も多様で、市民共同出資の共同経営体や自治体主体のもの、農協や生協・温泉旅館組合・森林組合が作る発電所などまさに地域密着型です。身近な例としては、寿都町では町が風力発電機を11基所有し、年間の売電収入で3億7000万円の利益があります。これを活用し水道料金の値下げや商品券の発行、敬老祝金の提供などで市民に還元しつつ、赤字財政から脱却しています。
再生可能エネルギーの発展は、脱原発・地球温暖化問題解決に大きな役割を果たし、持続的に地球環境を守り、地域住民の生活と経済活動を発展させる、打ち出の小槌になる可能性を秘めているのではないでしょうか。

(薬剤師 岡野 登紀子)