ココア

コラム No.77 2005年発行

 ココアはカカオ豆を炒って粉末にし、チョコレートの原料になるカカオバターを取り除いたものです。1995 年に開かれたチョコレート・ココア国際シンポジウムでココアのすぐれた効能が発表され、一時「ココアブーム」が巻き起こったこともありました。最近では、植物性タンパク質が豊富な豆乳や黒豆と組み合わせたものも人気があるようです。
 ココアの成分の半分近くは食物繊維で、その主なものはココア独特の「リグニン」という成分です。ココアの飲み方はお茶やコーヒーのような抽出液と異なり、ココアパウダーを溶かして飲むので、腸の働きを整える食物繊維を無駄なく摂ることができるのです。また、ココアには「カカオポリフェノール」という成分が多く含まれています。ポリフェノールは「抗酸化物質」と呼ばれるもので、体内に悪影響をもたらす活性酸素の産生を抑える働きがあります。
 ココアのほろ苦い味わいの正体は「テオブロミン」です。カフェインとよく似た成分ですが興奮作用が少ないため子供でも安心です。気持ちを和ませおだやかにしてくれる効果がありますので寝る前に飲むのもいいでしょう。またココアの良い香りにも、脳のアルファ波を増やして注意力や集中力を高めるという報告があります。
 この他にも多彩な効能について研究がされているココアですが、砂糖を入れて飲む時は糖分の取りすぎに注意してください。牛乳と一緒にのめば不足しがちなカルシウムの補給もできて、牛乳の苦手な方でもおいしくいただけますよ。
                                              薬剤師 田村 育絵