かつおぶし~カビが引き出す鰹のうまみ~
コラム No.85 2006年発行
かつおぶしは、日本人が作り上げた独特の調味料で、保存ができて味もよい発酵食品です。すぐれた食品であるばかりではなく、縁起物として結婚式の贈答品などにも広く使われています。現在はパックになった削り節が主流ですが、もともとは1670年頃に、紀州(和歌山県)の漁師が鰹を求めて土佐(高知県)へ出漁し、魚の処理や保存などの技術交流を行うなかで考え出されたものとされています。
その作り方は、三枚におろされた鰹を煮てから冷やし、薪でいぶしたあと数日かけて乾燥させたものを削り、鰹節菌と呼ばれる麹(こうじ)カビをつけて表面にカビを生やし、これをハケで払い落として天日に干し、乾燥させては再びカビをつけるということを何度も繰り返します。何度もカビ付けを行うことにより、鰹の内部の水分がカビに吸い取られ、カチカチに乾燥したかつおぶしができるのです。水分を吸収したカビは、繁殖しながら酵素を作り出しています。その中には、鰹のたんぱく質を分解してアミノ酸にするタンパク分解酵素があり、これが作用して、アミノ酸やイノシン酸という、かつおぶしのうまみ成分を作り出しています。さらに、カビは鰹の油脂を分解する酵素も出しているため、かつおぶしでダシを取った出し汁に脂分は浮いてこないのです。カビの性質を見抜いた先人の知恵はすばらしいですね。
薬剤師 野村 充代
その作り方は、三枚におろされた鰹を煮てから冷やし、薪でいぶしたあと数日かけて乾燥させたものを削り、鰹節菌と呼ばれる麹(こうじ)カビをつけて表面にカビを生やし、これをハケで払い落として天日に干し、乾燥させては再びカビをつけるということを何度も繰り返します。何度もカビ付けを行うことにより、鰹の内部の水分がカビに吸い取られ、カチカチに乾燥したかつおぶしができるのです。水分を吸収したカビは、繁殖しながら酵素を作り出しています。その中には、鰹のたんぱく質を分解してアミノ酸にするタンパク分解酵素があり、これが作用して、アミノ酸やイノシン酸という、かつおぶしのうまみ成分を作り出しています。さらに、カビは鰹の油脂を分解する酵素も出しているため、かつおぶしでダシを取った出し汁に脂分は浮いてこないのです。カビの性質を見抜いた先人の知恵はすばらしいですね。
薬剤師 野村 充代