乳製品を上手に活用しカルシウム不足を解消しましょう

コラム No.92 2007年発行



 日本人の大半がカルシウム不足といわれる今日、牛乳は毎日飲んだ方がいいといわれるものの、飲むとおなかがゴロゴロして下痢をしてしまうため飲みづらいという方が多いのではないでしょうか。
 牛乳を飲むとおなかがゴロゴロするのは、牛乳の成分で一番多く含まれている乳糖を分解してくれる酵素(ラクターゼ)が欠乏しているためで、乳糖不耐症といいます。
これは病気というよりも体質といった方がよく、西洋人に比べて日本人にはこの酵素が少ないとされ、日本人の5人に1人は乳糖不耐症と言われています。
 牛乳中には約4.5%の乳糖が含まれていますが、牛乳を原料とする乳製品にはその製法によってほとんど乳糖を含まないものがあります。バターや生クリ-ムは、牛乳の
脂肪を原料としているため乳糖はほとんど含みません。また、チーズは牛乳成分のうちたんぱく質や脂肪分などを利用しており、乳糖は製造の過程で失われ、ほとんど含まれていません。
 それに比べ、アイスクリームは、牛乳や脱脂乳を原料としており、種類によってはかなりの乳糖が含まれます。さらに、ヨーグルトなどの発酵乳にも、多くの乳糖が含まれています。ところがヨーグルトは乳酸菌の働きによって、すでに乳糖が20~30%分解されているうえに、乳酸菌から作り出されるラクターゼが、腸内で乳糖を分解してくれます。そのため、牛乳やアイスクリームに比べ、ヨーグルトでは下痢をおこしにくいと言われています。
 栄養の面からみると、ヨーグルト100g中には120mgのカルシウムが含まれ、これは牛乳100ml中の含有量と同じです。ヨーグルトは、牛乳の優れた栄養分を、そのまま摂取でき、さらにおなかにやさしいのです。
(ちなみに、カルシウムの1日必要量は600mgと言われています)
 牛乳を飲むと下痢をしてしまうので乳製品を敬遠しがちな方は、ヨーグルトでカルシウム不足を解消してみてはいかがでしょうか。
                                                薬剤師 鈴木 るみ子