特定健診・特定保健指導
コラム No.98 2008年発行
2008年4月からこれまで自治体で行われてきた基本健診に替わり、保険者が実施義務を持った特定健診と特定健診で発見されたメタボリック症候群該当者・予備群に対する特定保健指導がスタートしました。この新しい制度には多くの問題点があります。
第1に憲法25条にも規定されている国の責務である公衆衛生の向上の責任を放棄し、国保・社会保険・組合健保などの保険者の責任にしていることです。これまでは自治体の責任でしたが、新しい制度では保険料が払えず無保険となっている住民は健診の対象から排除される恐れがあり、ますます経済格差が健康格差となる可能性が広がってきます。
第2に構造改革路線に基づき国の支出する医療費削減を目的にして、増え続けている糖尿病とメタボリック症候群対策に重点を置いた健診と保健指導を内容としていることです。
これまでの健診のように様々な病気を早期に発見し治療につなげるのではなく、糖尿病・メタボリック症候群を削減することがねらいであり、保健指導を行う対象を発見するための健診となっています。検査項目も糖尿病・メタボリック症候群関連に限定されていて、胸部レントゲンや尿・血液検査のうち基本健診では実施されてきた重要な項目が削除されています。
第3に実施主体の保険者は健診・保健指導を外部委託しても良いこととなっていることです。これは、介護保険が始まったときのように営利目的の企業が保健予防分野に参入し、国民の「健康」が企業の営利追求のための商品とされるおそれがあります。
第4に後期高齢者医療制度と同じく年齢による「差別」があることです。私たちの運動で若干改善はされましたが、65歳を境に年齢によって受けることの出来る保健指導の内容に差が付けられ、75歳以上は治療中以外の方はそもそも検診を行うことは「努力義務」とされ、対象も限定されています。
しかし、新しい制度は保険者には実施が義務化されており、やり方によっては受診率を大幅に引き上げ、住民の健康を増進させる可能性も広がってきます。
積極的に活用することと合わせ、「予防重視」を強調する政府・厚生労働省に制度の改善を求めていきましょう。
今回の特集は、北区ひまわり薬局にいただいた投書を契機にまとめました。
菊水ひまわり薬局 事務長 西村 伊久夫
第1に憲法25条にも規定されている国の責務である公衆衛生の向上の責任を放棄し、国保・社会保険・組合健保などの保険者の責任にしていることです。これまでは自治体の責任でしたが、新しい制度では保険料が払えず無保険となっている住民は健診の対象から排除される恐れがあり、ますます経済格差が健康格差となる可能性が広がってきます。
第2に構造改革路線に基づき国の支出する医療費削減を目的にして、増え続けている糖尿病とメタボリック症候群対策に重点を置いた健診と保健指導を内容としていることです。
これまでの健診のように様々な病気を早期に発見し治療につなげるのではなく、糖尿病・メタボリック症候群を削減することがねらいであり、保健指導を行う対象を発見するための健診となっています。検査項目も糖尿病・メタボリック症候群関連に限定されていて、胸部レントゲンや尿・血液検査のうち基本健診では実施されてきた重要な項目が削除されています。
第3に実施主体の保険者は健診・保健指導を外部委託しても良いこととなっていることです。これは、介護保険が始まったときのように営利目的の企業が保健予防分野に参入し、国民の「健康」が企業の営利追求のための商品とされるおそれがあります。
第4に後期高齢者医療制度と同じく年齢による「差別」があることです。私たちの運動で若干改善はされましたが、65歳を境に年齢によって受けることの出来る保健指導の内容に差が付けられ、75歳以上は治療中以外の方はそもそも検診を行うことは「努力義務」とされ、対象も限定されています。
しかし、新しい制度は保険者には実施が義務化されており、やり方によっては受診率を大幅に引き上げ、住民の健康を増進させる可能性も広がってきます。
積極的に活用することと合わせ、「予防重視」を強調する政府・厚生労働省に制度の改善を求めていきましょう。
今回の特集は、北区ひまわり薬局にいただいた投書を契機にまとめました。
菊水ひまわり薬局 事務長 西村 伊久夫