ミネラル

特集 No.101 2009年発行

ミネラルとは
 ミネラルは無機質とも呼ばれ、カルシウム、マグネシウムなど20種類以上が知られています。炭水化物・脂質・タンパク質・ビタミンと共に、五大栄養素のひとつに数えられます。

炭水化物や脂質は、体を動かすエネルギー源になります。タンパク質は主に体をつくる材料になります。対してミネラルは、多くの酵素の材料となり、エネルギーをつくる手助けをしたり、体をスムーズに動かす際に活躍します。ミネラルやビタミンは、単独では働くことができず、互いに協力しあって上手に働くことができます。
ミネラルの主な働き
 ・酵素を作る材料になる
・エネルギーを作ったり、体の中で利用するのを助ける
・血液や体液のバランスをとる
・筋肉や神経の働きを調節する
・骨や筋肉、皮膚などの組織をつくる
ミネラルの摂り方
 ミネラルの不足(欠乏症)や摂りすぎ(過剰症)はどちらも望ましくありません。
ストレスの多い時や激しい運動をした時、あるいは高熱や下痢のため体の中の水分が失われたときは、普段よりも多くのミネラルが必要になります。

また、ある特定のミネラルだけを多く摂っても意味がなく、バランスよく摂ることが大切です。
例えばインスタント食品等を摂りすぎるとリンが過剰になり、カルシウムが不足してしまいます。
また、カルシウムとマグネシウムは、どちらか一方を摂りすぎると、もう片方が欠乏してしまうという性質があります。そのため、片寄らず両方とも摂る必要があります。
ナトリウムとカリウムについても同じような関係があります。塩分(ナトリウム)を摂りすぎるとカリウムが不足します。カリウムの多い野菜や海藻も積極的に摂りたいものです。
ただし、腎臓の病気をお持ちの方では、摂取量に制限のある場合があります。食事の内容についても医療機関で十分相談しましょう。
主なミネラルの働きと含まれる食品
   ……必須元素(1 日必要量が100mg 以上) ……
 主な働き多く含む食品
カルシウム骨や歯を作る(不足すると骨がもろくなる、くる病)
神経や筋肉の働きを調節する
牛乳、小魚、ひじき、ごま
マグネシウムカルシウムと協力して、神経や筋肉の働きを調節する
腎臓の悪い人は摂取量に注意が必要
大豆製品、ひじき、アーモンド、玄米
リンエネルギー代謝に必要
骨や歯を作るが、摂りすぎるとカルシウムの吸収が低下する
小魚、肉、牛乳、チーズ、卵黄、インスタント食品、清涼飲料水
ナトリウム神経伝達に必要だが、摂りすぎると高血圧の原因になる食塩
カリウム神経伝達に必要
腎臓の悪い人は摂取量に注意が必要
ほうれん草、じゃがいも、バナナ、わかめ
赤血球中のヘモグロビンの材料になる(不足すると鉄欠乏性貧血になる)
筋肉の収縮に必要
レバー、肉、魚の赤身、ほうれん草、卵黄、ごま、ひじき


……微量必須元素(1 日必要量が100mg 以下) ……
 主な働き多く含む食品
鉄と協力してヘモグロビンを作る(不足すると鉄欠乏性貧血になる)玄米、するめ、牡蠣、レバー、納豆
ヨウ素チロキシン(甲状腺ホルモン)の成分になる
甲状腺の病気の人は摂取量に注意が必要
海藻、魚
マンガン酵素の働きを助け、骨の成長などに関与する
糖や脂質の代謝に必要
野菜、豆、玄米
亜鉛インスリンの活性化に必要
酵素の成分になり、成長、免疫などに関与する
不足すると味覚異常、皮膚炎、免疫低下などの原因になる
玄米、牡蠣、うなぎ、レバー
セレンビタミンEと協力して抗酸化作用を持つ
酵素の成分になり抗酸化作用を持つ
魚、海藻、野菜
クロム糖、脂質の代謝に必要
不足すると血糖値の異常の原因になる
魚、肉、海藻


(薬剤師 工藤 仁起子)

下剤でマグネシウム値が上がると新聞で見たのですが大丈夫でしょうか?

下剤でマグネシウム値が上がると新聞で見たのですが大丈夫でしょうか?

すべての下剤がマグネシウムと関係しているわけではありません。
下剤として使われる酸化マグネシウム製剤(マグミット、重質酸化マグネシウムなど)を長期服用していると、まれに血液中のマグネシウム値が通常より高くなることがあります。
 
腎臓病のある方や高齢者の方では高くなりやすいとされています。あまり高くなりすぎると、吐き気、だるさ、手足のしびれ、頭が重い、呼吸が苦しいなどの症状が出ることもあります。

これらの薬を服用していて気になることがある場合には、定期的にマグネシウムの検査をしてもらうなど、主治医とよく相談されることをおすすめします。

(薬剤師 野村 充代)