虫さされ
夏はキャンプ、山登り等、アウトドアを楽しむ機会や、窓を開けることも多くなります。 そこで、虫にさされて、かゆみや痛みで大変な思いをすることもあるでしょう。「虫さされくらい大文夫』と思って油断してはいけません。
こんな虫に気をつけましょう!
攻撃性の強いスズメバチ科の蜂は要注意です。野山に限らず、都市でも多くの被害が発生しています。
●症状
刺された所が激しく痛み、赤く腫れあがるというのが主な症状で、通常は短期間で治まります。しかし、アレルギー反応を起こすこともあり、直後にジンマシンや嘔吐等を生じたり、1~2日後に腫れや赤みが現れることもあります。また、1回目より2回目以降に激しく症状が出ることもあります。
最も怖いのは、「アナフィラキシー」と呼ばれるショック症状が起こることがあり、呼吸困難や血圧低下等、命に関わる危険な状態になることもあります。
*蜂に刺されたときの対処法
皮膚に針が残っていたら、毛抜きやテープなどに付着させて抜きます。ハチの毒液は水に溶けやすいため、刺されたらます傷ロを流水でよく洗い流して冷やし、傷ロから毒を絞り出しましょう(ロで毒は吸わないようにしましよう)。赤みや腫れが続くようならすぐに受診しましょう。アナフィラキシーショックは15分~1時間以内と極めて短時間で起こるので、少しでも様子がおかしいと感じたら、すぐ救急車を呼ぶなど速やかに対処しましょう。
どこにでもいることが多く、人が吐き出す二酸化炭素や熱、汗に近寄って行く性質があります。また、蚊に刺されて危険な感染症にかかる場合もあり、海外に出かけたときは特に注意が必要です。
●症状
刺されたときに一緒に注入された唾液が皮膚でアレルギー反応を起こします。強いかゆみや赤みが刺されて短時間で現れる場合と、1~2日後に現れる場合があります。
体長3~5ミリ程度の黒い羽虫で、主に高原や渓流沿いにいます。そばにいても気づかないこともあります。
●症状
刺されたときはちくっとした程度の痛さですが、半日くらいかけて徐々にかゆみや赤みがひどくなっていき、症状が1週間以上続くこともあります。刺されてから2~3日は刺された所が腫れあがって熱をもったり、人によっては、頭痛や発熱、赤いしこりができて長く残ることもあります。
*蚊・ブヨに刺されたときの対処法
かゆみや腫れ、痛みがひどい場合は、冷水で絞ったタオル、氷等で患部を冷やしておくと、症状が和らぎ効果的です。かゆみが強くても掻いてはいけません。掻きむしってしまうと皮膚炎を起こしたり、細菌感染して数日で広がってしまう場合もあります。また、うっかり掻いて傷にならないよう爪を短く切っておいたり、市販されているかゆみに貼るシールを利用したりするのもよいでしょう。
チャドクガの幼虫等、毒針毛をもったものもいます。直接触らなくても、風で飛ばされて衣服についた毒針毛に刺されることもあります。
●症状
毛に刺された所がひりひりとしてだんだん強いかゆみが現れ、ぶつぶつと赤く腫れてきます。
*毛虫に刺されたときの対処法
刺されたら、こすらすに流水で洗い流すか、テープなどを当てて毒針毛を除きましょう。こするとどんどん広がっていきます。腫れが強ければ冷やしましょう。
虫さされの治療
早めの対処、薬の使用が効果的です。軽症なら、上記の対処法や市販の塗り薬等で様子を見てもよいですが、症状がよくならずに悪化したり広がってきた場合は、早めに受診しましょう。症状がひどいときはステロイド外用薬、抗ヒスタミン薬やステロイドの内服薬・注射が必要なこともあります。感染症の場合は適切な処置が必要となります。
虫さされの予防
せっかく治ってもまた繰り返すことがあるので、刺されないための予防対策もしておきましょう。
・肌の露出をしない
かなりの予防効果があります。虫がたくさんいそうな野山に行くときは、長袖・長ズホン、帽子、手袋を着用していきましょう。
・虫よけスプレーや携帯虫よけ剤を使用
効果を期待しすぎないようにしましよう。また、頻繁に使いすぎないように気をつけましょう。
・室内への虫の侵入を防ぐ
蚊取り線香や虫よけ剤等を置くとよいでしょう。
蜂に襲われないためにはどうすればよいですか?
蜂に襲われないためにはどうすればよいですか?
蜂は黒い色を攻撃したり花柄に寄って行く性質があるので、そのような服装は避けましよう。また、蜂は匂いのするものを攻撃する性質もあるので、香水や匂いのきつい化粧品、整髪料などの使用も避けましょう。
蜂は巣に近づくものを攻撃する性質があるので、巣を見つけたら絶対に近づかないようにしましよう。巣は木の上だけでなく、軒下や地面にあることもあるので気をつけましょう。
蜂が近寄ってきても、手で振り払ったり、刺激を与える行動はしないようにしましよう。刺激して一度攻撃を受けると、他の蜂も加わって集団で攻撃してくることがあります。黒い髪の毛や目が狙われることもあるので、頭を隠すように低めの姿勢をとり、なるべくじっとしていましょう。
(※注 以上の方法で絶対に襲われない、とは限りません)
(薬剤師 棚橋 聡子)