夜間尿(夜間頻尿)

特集 No.110 2010年発行

就寝中に尿意のたびに目が覚めてしまう、そんな症状はありませんか?
夜間尿(夜間頻尿)とは、「夜間1回以上排尿のために目覚めること」とされていますが、尿意を感じて起きる方のすべてが問題なのではありません。
尿意のせいで睡眠不足になってしまう場合が問題とされてい ます。
最近では.男女問わずご高齢になるほまど多くなっており、50歳代でも半数以上の方が悩まされていると言われています。
大きくわけて以下の2つの状態が考えられています。
1.夜間尿量の増加
 就寝中に尿がたくさん作られている状態です。
 ~主な原因~
 


水分摂取が多い
寝る前に水分を取りすぎていませんか?
夕食を食べ終わったら水分摂取を控えめにしましょう。ただし、脳梗塞や心筋梗塞になったことのある方は、水分を控えすぎると病状が悪くなることがあるので 、主治医にご相談ください。
また、緑茶、紅茶、コーヒーなどは利尿作用があるのでご注意ください。

高直圧・心臓病など
このような病気がある場合、体内で血圧を下げようとして利尿作用のあるホルモンが放出され、夜間尿量を増加させることがあります。また、血圧を下げる薬の中には夜間頻尿に影響する薬もあります。
主治医に相談してみましょう。

2.膀胱容量の現象
 膀胱の容量が減少しているため、尿をためられない状態です。
 ~主な原因~
 


前立腺肥大・過活動膀胱など
尿を排出する機能や尿をためる能力が低くなるため、頻尿となります。

治療法
 !運動療法理学療法薬物療法などがあり、原因にあわせて選択されます。

運動療法:
夕方以降に30分以上のウォーキングをすると、効果的と言われています。

理学療法:
膀胱訓練(尿意を我慢して膀胱の容量を増やす方法)や骨盤底筋体操(肛門を締めるようにして尿道の筋肉を鍛える方法)、低周波治療、電気刺激療法などがあります。

薬物魔法:
抗コリン剤は膀胱の緊張を抑えて尿をためやすくします。副作用として、ロの渇きや便秘などに注意が必要です。
α遮断薬という薬は、前立腺肥大などの排尿困難を改善するので頻尿に効果があります。
血圧を下げる作用もあるので血圧が下がりすぎないように注意する必要があります。
このほか、少量の利尿剤や漢方薬などが使われることもあります。
もちろん、前立腺肥大や高血圧など原因となる病気がある場合にはそちらを優先的に治療します。

排尿日記(排尿量と排尿時間を記録するもの)をつけると、夜間尿量や膀胱にどの位尿をためられるかを知ることができ、ご自分の生活習慣を客観的にとらえることができるので、原因を知るために有用です。

夜間尿(夜間頻尿)でお困りの場合には、一度泌尿器科へ相談してみてはいかがでしょうか?


(薬剤師 長谷川 志奈)