むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)
特集 No.112 2011年4月発行
「むずむず脚症候群」という病気をご存じでしょうか?むずむず脚症候群とは、レストレスレッグス症候群とも言われ、脚を中心に不快な感覚が起こり、じっとしていられなくなる病気です。 40代以上の中高年に起こりやすく、男性よりも女性に多く見られます。昼よりも夕方から夜にかけて起こりやすいため、不眠の原因になることもあります。進行してくると、日中にも症状が現れるようになり、じっとしていられないために仕事や日常生活に影響が出てきます。また睡眠不足が続くことで、日中に眠気が出る、集中できない、など大きなストレスを感じるようになります。 | ![]() |
■症状 | |
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一言で「脚のむずむず感」と言われますが、「虫が這(は)うよう」「ほてる」「掻(か)きむしりたくなる」「電流が流れるよう」「痛い」など、人によって感じ方はさまざまです。共通しているのは、皮膚の表面ではなく内部に起こることです。また、悪化すると脚だけではなく全身に広がる場合もあります。 特徴としては次のようなものがあり、全て当てはまる場合にむずむず脚症候群と診断されます。 | ||
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■原因 | |
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この病気が起こる詳しい仕組みはまだ解明されていませんが、次のような事が関係していると言われています。 ドパミンの機能障害 ドパミンは、様々な運動機能に関係する神経伝達物質です。この、ドパミンの働きが障害されると、症状が起こりやすくなります。 鉄の不足 鉄はドパミンの働きに欠かせない物質であるため、体内に鉄が不足すると症状が起こりやすくなります。 遺伝 むずむず脚症候群には遺伝性があるため、親にむずむず脚症候群がある場合、子供にも発症する確率が高くなります。 病気や薬 重い腎障害、鉄欠乏性貧血、妊娠、パーキンソン病、また抗うつ薬や向精神薬が原因となっている場合もあります。 |
■治療 | |
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治療は、薬物療法が中心となります。適切な治療を受ければ、多くの場合症状は改善します。 ドパミン作動性薬剤 ドパミンの機能を改善する薬で、パーキンソン病の治療に使われるものです。2010年1月に国内で初めてむずむず脚症候群の治療薬として、ビ・シフロール錠に健康保険が適用されました。一方で、副作用に突発性睡眠*があり、注意が必要です。 *突発性睡眠:日常生活の中で突然眠り込んでしまう症状 | ||
抗てんかん薬 症状が軽い場合使われることがあります。 鉄剤 鉄分の不足が原因の場合には、鉄剤で症状が改善することがあります。 | ![]() |
■生活上の工夫 | |
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症状が軽い場合、生活上の工夫で症状が改善することもあります。 | ||
◆カフェイン、お酒、タバコなどの嗜好品は症状を悪化させる原因となるため、控えましょう。 ◆脚のマッサージやストレッチ、また軽いウォーキングなどは症状を和らげます。 ◆暑い時期には冷たいシャワーを当てる、寒い時期には温かいお風呂に入るなど、温度による刺激も良いと言われています。 ◆何かに集中しているときは症状が和らぐことも多いため、趣味などを見つけることも良いでしょう。 | ![]() |
むずむず脚症候群は、一般的にはまだあまり知られていないため、他の病気と間違えられたりして、適切な治療を受けていない患者さんも少なくありません。脚のむずむず感や、原因不明の不眠に悩んでいる方は、一度神経内科を受診してみるとよいでしょう。 |
(薬剤師 木下 育絵)