知らぬ間に進行している?!新たな国民病・慢性腎臓病(CKD)について
特集 No.121 2012年7月発行
慢性腎臓病(CKD)とは? |
腎臓の働きが徐々におとろえていく病気です。 腎臓は、肝臓などと同じく“沈黙の臓器” と呼ばれるほど自覚症状が現れにくい臓器です。そのため、気がついた時には、人工透析が必要となってしまった……ということも少なくありません。 腎臓病の原因は様々ありますが、下の図にあるように、最近では糖尿病など生活習慣病の合併症として発症していることも多くなってきています。 | |
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悪化すると、人工透析が必要なだけでなく、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患の重大な危険因子になります。患者さんの数は予備軍も含めると、推定で1300万人~2000万人ともいわれています。 慢性腎臓病(CKD)は、腎臓の働き(GFR)が健康な人の60%以下に低下するか、あるいはタンパク尿が出るといった腎臓の異常が続く状態のことを言います。 年をとると腎臓のはたらきは低下していきますので、高齢者になるほど慢性腎臓病(CKD)が多くなっていきます。 高血圧、糖尿病、コレステロールや中性脂肪が高い(脂質代謝異常)肥満やメタボリックシンドローム、家族に腎臓病の人がいる場合は要注意です。 |
慢性腎臓病(CKD)の定義 |
下記のいずれか、または両方が3ヶ月以上続いた場合に慢性腎臓病(CKD)とされます。 | |
![]() | 1.尿検査、血液検査、画像診断などで腎障害が明らかである(とくにたんぱく尿が出ている) 2.糸球体濾過量(GFR)が60(ml/分/1.73㎡)未満である |
慢性腎臓病(CKD)の症状とは? |
慢性腎臓病(CKD)の初期には、ほとんど自覚症状がありません。GFRが30未満まで低下すると「だるさ」「めまい」「むくみ」などの症状が出てくることがあります。15未満では腎不全といわれる状態です。場合によっては人工透析が必要になります。 | |
![]() | 貧血、疲労感、むくみなどの症状が現れたときには、病気がかなり進行している可能性もあります。そうなる前に定期的に尿検査や血液検査を受けましょう。 |
慢性腎臓病(CKD)の治療は? |
慢性腎臓病(CKD)の治療の目的は、透析が必要な末期腎不全へと病気がすすむのを遅らせることと、心血管系の病気になるのを防ぐことです。 そのためには、まず生活習慣の改善が特に大切です。肥満の解消や減塩を心がけ、規則正しい食事をしましょう。腎機能が低下した場合には低たんぱく食を摂りましょう。たばこを吸っている人は禁煙に励みましょう。高血圧や糖尿病などの生活習慣病がある人は、病院を受診し、きちんと治療をしておくことが大切です。 詳しくは医師と相談し、自分に合った治療法を継続しましょう。 また、少なくとも年1回は、血液・尿検査で慢性腎臓病(CKD)のチェックを受けましょう。 |
慢性腎臓病(CKD)食事療法のポイントは? |
腎臓の状態によっては、たんぱく質やカリウムの摂取量を抑える場合もあります。 |
(薬剤師 広奥 智恵)