ヘリコバクターピロリ除菌療法について

特集 No.127 2013年7月発行

ピロリ菌はどんな細菌?

胃炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍などと深い関係にあると考えられている細菌です。強酸性の胃の中で他のほとんどの細菌は死滅してしまう中、まわりをアルカリ性にして酸を中和しながら生き続けています。このピロリ菌が出す毒素によって胃の粘膜が刺激され、炎症を起こして潰瘍をつくると言われています。
らせん状(ヘリコ)の細菌(バクター)で、胃の出口付近の幽門部(ピロリ)に好んで住み着くためこの名が付けられました。

 

ピロリ菌はどんな病気を引き起こすの?

  • 胃潰瘍や胃がんの発症リスクを高めます。ピロリ菌に感染すると、ピロリ菌が発するアンモニアや毒素などによって、胃の粘膜が炎症を起こします。
    この状態が長く続くことで、胃を中心に様々な障害が引き起こされると考えられています。ピロリ菌が引き起こす主な疾患は次の通りです。
    ●胃潰瘍・十二指腸潰瘍
    ●萎縮性胃炎(慢性胃炎が進行した結果、胃粘膜が萎縮してしまい、薄くもろくなった状態。)
    ●胃がん
    このほかにもピロリ菌が深くかかわっている胃の病気には、
    ●胃MALT リンパ腫(胃の中にあるリンパ球が腫瘍化したもの)
    ●胃過形成性ポリープ(よく見られる良性のポリープ)などがあります。

胃以外の病気では特発性血小板減少性紫斑病(血小板が減少し、出血しやすくなる病気)があります。
これらの病気はピロリ菌の除去により、高い確率で改善が見られます。

 

ピロリ菌に感染しているかどうかを知るためには?

内視鏡検査や呼気検査を受ける必要があります。ピロリ菌に感染しているかどうかは、病院で検査を受けないとわかりません。

  • 口にホースを入れているイラスト内視鏡を使う検査

    内視鏡で胃の粘膜の一部を採取し、pH 指示薬で反応を見たり、粘膜の組織からピロリ菌が培養されるかどうかで有無を調べる。
  • 息を吐いている人のイラスト内視鏡を使わない検査

    胃に症状がなく、ピロリ菌の有無だけを調べる。
    ●尿素呼気試験:尿素製剤を服用し、吐く息(呼気)を採取し、ピロリ菌が尿素を分解したときに発生する二酸化炭素を調べる検査。 
    ●抗体測定法:血液中のピロリ菌に対する抗体を調べる。

 

ピロリ菌の除菌はどのように行うの?

抗生物質などを服用しピロリ菌を排除します。2013年2月からは、これまでの胃潰瘍・十二指腸潰瘍などに加え、「内視鏡検査で確定診断された胃炎」にも保険で治療できるようになりました。


この3種類を1日2回、7日間続けて服用します(1次除菌)。その4週間後以降に除菌に成功したかどうかを検査し、除菌できていなかった場合には2次除菌が行われます。2次除菌では前回の除菌療法で服用された2種類の抗生物質のうち、1種類を他の抗生物質(メトロニダゾール)に変更して治療を行います。
 
除菌療法中は薬の副作用により軟便、下痢、味覚異常といった症状がおこることがありますが、そのほとんどは程度が軽く、除菌療法が終了した後には治ります。但し、湿疹や水様便などのひどい下痢、血便が現れた場合はすぐに服薬を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
また、除菌に成功したかどうかの判定の際、服用してはいけない薬があります。くわしくは医師または薬剤師の指示に従ってください。


ピロリ菌を抑える食品はありますか?

これまでにヨーグルト(LG21乳酸菌を含むもの)、緑茶カテキン、ブロッコリースプラウト、はちみつ(マヌカハニー)、海藻類などにピロリ菌を抑制する作用が確認されています。ただし、どの食品もピロリ菌を完全に除去するまでには至らず、菌の数を減少させる程度に留まります。これらはあくまで胃の健康を助ける食品として利用しましょう。

ヨーグルト・お茶・ブロッコリースプラウト

(薬剤師 渡邉 由紀)