ヘリコバクターピロリ除菌療法について
特集 No.127 2013年7月発行
ピロリ菌はどんな細菌?
胃炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍などと深い関係にあると考えられている細菌です。強酸性の胃の中で他のほとんどの細菌は死滅してしまう中、まわりをアルカリ性にして酸を中和しながら生き続けています。このピロリ菌が出す毒素によって胃の粘膜が刺激され、炎症を起こして潰瘍をつくると言われています。 らせん状(ヘリコ)の細菌(バクター)で、胃の出口付近の幽門部(ピロリ)に好んで住み着くためこの名が付けられました。 |
ピロリ菌はどんな病気を引き起こすの?
胃以外の病気では特発性血小板減少性紫斑病(血小板が減少し、出血しやすくなる病気)があります。 |
ピロリ菌に感染しているかどうかを知るためには?
内視鏡検査や呼気検査を受ける必要があります。ピロリ菌に感染しているかどうかは、病院で検査を受けないとわかりません。
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ピロリ菌の除菌はどのように行うの?
抗生物質などを服用しピロリ菌を排除します。2013年2月からは、これまでの胃潰瘍・十二指腸潰瘍などに加え、「内視鏡検査で確定診断された胃炎」にも保険で治療できるようになりました。 この3種類を1日2回、7日間続けて服用します(1次除菌)。その4週間後以降に除菌に成功したかどうかを検査し、除菌できていなかった場合には2次除菌が行われます。2次除菌では前回の除菌療法で服用された2種類の抗生物質のうち、1種類を他の抗生物質(メトロニダゾール)に変更して治療を行います。 除菌療法中は薬の副作用により軟便、下痢、味覚異常といった症状がおこることがありますが、そのほとんどは程度が軽く、除菌療法が終了した後には治ります。但し、湿疹や水様便などのひどい下痢、血便が現れた場合はすぐに服薬を中止し、医師または薬剤師に相談してください。 また、除菌に成功したかどうかの判定の際、服用してはいけない薬があります。くわしくは医師または薬剤師の指示に従ってください。 |
ピロリ菌を抑える食品はありますか?
ピロリ菌を抑える食品はありますか?
これまでにヨーグルト(LG21乳酸菌を含むもの)、緑茶カテキン、ブロッコリースプラウト、はちみつ(マヌカハニー)、海藻類などにピロリ菌を抑制する作用が確認されています。ただし、どの食品もピロリ菌を完全に除去するまでには至らず、菌の数を減少させる程度に留まります。これらはあくまで胃の健康を助ける食品として利用しましょう。
(薬剤師 渡邉 由紀)