めまいの話

特集 No.128 2013年6月発行

一言で「めまい」といってもその原因は様々で、身体が危険な状態であることを示すサインの可能性もあります。
今回は「めまい」の症状と、そこから推測される病気についてご紹介します。
実際に以下の症状があらわれた場合には受診して医師の診断を受けましょう。

めまいの症状の違いから推測される病気

立ち上がった時にふらつく、クラクラとするクラクラしている人
自律神経失調症や貧血等でみられる症状で、急に立ち上がるといった動作で脳に送られる血液の量が足りなくなってしまうことから生じます。
症状が頻繁にみられる場合には受診をお勧めします。


身体がフワフワする感じがする、 足元がふらつく、身体がよろめく
「浮動性めまい」と呼ばれます。ストレスや更年期障害等が原因の場合が多いですが、脳の異常による症状の可能性もありますので注意が必要です。


目が回る、天井が回る、壁が流れるように見える、身体がぐるぐる回る

「回転性めまい」と呼ばれるもので、自分はじっとしているのに周りが回
転して見える症状です。
これは耳にある「からだのバランスを保つ器官」(三半規管[さんはんきかん]、前庭神経[ぜんていしんけい]、蝸牛[かぎゅう])の障害が主な原因となり起こり、その症状の違いにより主に以下の 病気が考えられます。

①良性発作性頭位めまい症

特定の頭の動き(寝返り、起き上がり等)でめまいがおきます。症状は激しいが数分以内に弱くなり消失します。耳鳴り、難聴等の聴覚障害はありません。
「耳石器[じせきき]」(頭や体のバランスをとる器官)の中の耳石が三半規管に入ってバランスを乱すことにより発生します。耳が原因となるめまいで最も多いタイプと言われています。

②前庭神経炎
めまいは数時間~数日程度続きます。聴覚障害はありません。
前庭神経(三半規管で感知したバランス情報を脳に伝える器官)の炎症等による障害でめまいが発生します。再発がほとんどないのが特長です

③メニエール病
めまいは数時間~約1日程度続き、一度おさまっても繰り返します。耳鳴り、難聴等の聴覚障害が同時におこります。

三半規管と蝸牛が、内部に流れる「内リンパ液」が溜って水ぶくれのようになることで発生します。原因は不明ですがストレスや疲労が関与していると言われています。
発作を繰り返すことで進行し悪化していきます。放っておくと治療が難しくなるため早期の診断、治療が大切です。

 

めまいと一緒に次の症状がある時は病院へ!

激しい頭痛、ろれつが回らない、手足や顔にしびれや麻痺、意識低下 頭痛に苦しんでいる人
めまいと一緒にこれらの症状がある場合は「脳梗塞」「脳出血」等の脳の異常が発生している可能性があります。救急車を呼ぶ等、急いで病院に行くようにしましょう。


「めまい」ではどのような薬が使用されますか?

「めまい」ではどのような薬が使用されますか?

めまいの原因・症状により異なりますが、次のような薬が使われます。
【抗めまい薬】
①ベタヒスチンメシル酸塩・ジフェニドール塩酸塩
→内耳の血流量を増やすことで回転性のめまいを改善します。
②アデノシン三リン酸二ナトリウム
→血管を広げる作用によって血液の流れをよくし、エネルギー代謝を活発にして内耳の機能を改善します。
③カリジノゲナーゼ
末梢血管を広げて血液の流れをよくし、めまい、耳鳴り等の症状を改善します。

【脳循環改善薬】
イブジラスト・イフェンプロジル酒石酸塩
→脳血管障害を改善することによりめまいを改善します。

【ビタミン剤】
メコバラミン
→神経の働きを正常に保つことによって、障害を受けた神経を修復します。
他、症状に合わせ、吐き気止め、抗不安薬、抗ヒスタミン薬なども用いられます。

(薬剤師 兼平 洋)