乳がんの話

特集 No.132 2014年6月発行

「乳がん」は乳房の乳腺にできるがんで、日本人女性のがんのなかで、最も多い病気です。
「乳がん」は他のがんに比べると進行が遅く、触知できる大きさになるのに7年から10年かかります。
1.5cm〜2cm程度の大きさになれば、だいたいは注意深く乳房を触ると「しこり」として感じられるようになります。
この段階で手術を受ければ、9割以上治るのです。

1.「乳がん」の種類

非浸潤(ひしんじゅん)がん ⇒ 転移する能力をもつ前の早期がん。 ほとんどは触知せず、マンモグラフィーなどで偶然みつかる。

浸潤(しんじゅん)がん ⇒ 転移の能力をもっているがん。


2.「乳がん」の検査

視触診 ⇒ しこりの有無のほかに、脇の下のリンパ節が腫れていないか、乳頭から分泌物がないか、しこりのある部分の皮膚が赤くなっていないか、などを調べます。

マンモグラフィー ⇒ 乳房のエックス線検査です。 乳房を上下、左右に挟んで平らにして、エックス線撮影を行います。

 

超音波検査 ⇒ 超音波を利用した画像検査です。 乳腺の豊富な若い女性にはマンモグラフィーより適していると言われています。

細胞診 ⇒ 良性、悪性を調べるため、採取した細胞を顕微鏡で調べます。

MRI・CT 検査 ⇒ がんの広がりなどを調べます。

 

◆自己検診の手順◆

見たり触ったりして、乳房に異変がないかを調べる。
やさしくなでるように触る、しこりがわかりやすい。
皮膚をつまむとわかりにくくなるため、つままずに行う。

①乳房や乳頭をよく観察する
乳房や乳頭をよく観察する
赤く腫れているなどの色の変化や、引きつれやくぼみなどの形の変化などがないかを確認する。

②胸の正面を触る
胸の正面を触る
胸の正面の皮膚に小さな円を描くように指で触り、しこりの有無を調べる。

③胸の側面を触る
胸の側面を触る
あおむけになり、調べるほうの腕を上げる。
体の側面から乳房へ向かって反対側の手の指を滑らせて、しこりの有無を調べる。
また、乳がんが発生したほうの首やわきの下、手術の傷痕周辺にもしこりがないかを調べるとよい。

(日本乳癌学会編『患者さんのための乳がん診療ガイドライン2009年版』)


3.「乳がん」の治療

乳がんが発見された場合、病気の進行度に応じて、適切な治療が行われます。
初期治療の基本は手術ですが、手術後も多くの場合、薬物療法や放射線療法が加えられ、体に潜んでいる可能性のあるがん細胞の根絶を目指します。

 

4.「乳がん」の薬物療法

乳がんは、ホルモン受容体・特殊なたんぱく・特殊な指標によって、5 つのタイプに分けられます。
タイプによって、薬物療法は異なります。
乳がんは薬がよく効くがんのひとつで、薬物治療の進歩は著しく、選択肢が増えています。
分子標的治療薬という薬も登場し、抗がん薬も進歩しています。

 

5.「乳がん」の再発・転移

乳がんは手術後の再発、転移の予防が非常に重要な病気です。
手術2〜3年後に見つかることが最も多いのですが、個人差が大きく、10年後、20年後に見つかることもあります。
月1回の自己検診、3ヵ月から6ヵ月に1回の医師による視触診、年1回のマンモグラフィーを続けましょう。
このように初期治療に再発予防を目的とした治療を組み込むことで、7割の人は再発、転移せず、治癒に向かうと言われています。
再発、転移が起こっても、多くは薬などにより進行を抑え、良い状態を保つことができます。

早期に乳がん検診を受けましょう。

 

(薬剤師 鈴間 清彦)

ピンクリボン運動とはどのようなものですか。

ママさんと赤ちゃんピンクリボン運動とは、乳がんの正しい知識を広め、乳がん検診の早期受診を推進することなどを目的として行われる世界規模の啓発キャンペーンです。シンボルであるピンクリボンの由来については定かではありませんが、「1980年代のアメリカの小さな町で、乳がんで死亡した女性の母親が同じ悲しみを繰り返さないよう、願いをこめて孫娘に手渡したものがピンク色のリボンであったことに端を発する」とも言われています。
日本でのピンクリボン運動が一般的に認知されるようになったのは2000年代に入ってからですが、その運動の規模は年を追うごとに拡がっており、協賛する企業、市民団体、NPO法人などが増えています。


(薬剤師 横内 小静)