漢方薬について

特集 No.134 2014年9月発行

漢方とは、もともと中国で発展し、日本に渡って独自の発展をしてきた東洋医学です。
漢方薬は、植物由来のもの、鉱物などの天然物(生薬)を複数組み合わせることにより作られています。
そのため、一つの漢方薬でいろいろな症状に対応することができます。
同じ病態でも患者さんの体質や症状に合わせて処方されるため、異なる漢方薬が使われることもあります。
逆に、異なった病態であっても同じ漢方薬が処方されるということもあります。
現在では多くの医師が漢方治療を取り入れており、医療に欠かせない治療法の一つになっています。
今回は漢方治療の一部を紹介します。

1. 変形性膝関節症に用いられる漢方薬

変形性膝関節症とは、膝関節のクッションである軟骨のすり減りや筋力の低下が要因となって、膝の関節に炎症が起きたり、関節が変形したりして痛みが生じる病気です。
痛みを軽減するのに漢方治療が適している場合があります。

・ 変形性膝関節症は色白で汗かきの中年女性に多くみられる疾患です。 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)はそのような症例に適応します。
・ 牛車腎気丸(ごしゃじんぎがん)は、中高年者で腰痛や夜間尿のある方に向いています。
・ 急な痛みに用いられる芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)は、筋肉のこむら返りなどにも使われることがあります。

 

2. 胃炎、胃潰瘍に用いられる漢方薬

胃の粘膜が損傷を受けた状態を胃炎とよび、より症状が進み胃壁まで損傷したものを胃潰瘍と呼びます。
症状としては胃痛、胸やけ、悪心、嘔吐や食欲不振などがあります。
このような胃炎、胃潰瘍の症状にも漢方薬が有効な場合があります。

 

・ 六君子湯(りっしくんとう)は胃腸の働きを良くする効果があり、内視鏡検査などで胃に異常が見つからない場合でも胃の痛みや胃もたれを改善することがあります。
・ 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)は体力があり、暑がりな方に向いています。
二日酔いにも有効です。


※ 上記の症状以外にも使用されることがあります。
また、病院によっては使用していないところもあります。
漢方治療では患者さん一人一人の症状、体質に合った薬が使われるので、漢方治療をする際には医師とよく相談するとよいでしょう。


漢方薬はどうして食前に飲むの? 漢方薬って安全?

漢方薬は基本的に食前、もしくは食間に服用するお薬です。
漢方薬の多くは空腹時に飲むと、食物の影響を受けずに効率よく吸収され、効果を発揮できるようになります。
しかし、胃に負担のかかる成分の入った漢方薬もあるので、その場合は逆に食後にのむことをお勧めすることもあります。
漢方薬も薬ですので、副作用が起こることがあります。
副作用は漢方薬によって様々ですが、主な副作用は胃もたれ、吐き気等の胃腸障害や、蕁麻疹、むくみ、動悸、血圧が上がるなどがあります。
この他にもごく稀に間質性肺炎(から咳、息切れ)や肝機能障害(だるい、白目が黄色くなる)など重篤な副作用を起こす漢方薬もありますので、何か気になることがあれば医師や薬剤師に相談してください。

(薬剤師 澄川 大樹)