気をつけたい紫外線の肌トラブル
紫外線量が増える季節・光線過敏症に注意
紫外線量が増える季節・光線過敏症に注意
光線過敏性皮膚症(以下、光線過敏症)とは、日光を浴びることによって起こる皮膚疾患の総称を言います。
外因性(薬剤などが原因)と内因性(遺伝疾患や代謝疾患が原因)があります。
今回は外因性の光線過敏症についてのお話です。
外因性光線過敏症は「クロモフォア」という物質が原因となって起こります。
体内に取り込まれて皮膚にたどりついたクロモフォアが、紫外線(主にUV-A)を受けることで変化し、皮膚に炎症を起こした状態を言います。
経路としてはクロモフォアが外側から皮膚へたどりつく場合(塗り薬・貼り薬、化粧品、香水、果汁など)と体内から皮膚に移動する場合(内服薬、食品など)の2つがあります。
また、クロモフォアが直接毒性を帯びる場合(光毒性)と、免疫反応を介して炎症を起こす場合(光アレルギー性)があります。
前者は日焼けのような症状が主なのに対して、後者は紅斑や水疱が主です。
※クロモフォアとは化合物が色を持つために必要な物質の総称。光線過敏症の原因となる
光線過敏症を起こしやすい代表的な薬剤一覧
向精神薬 | クロルプロマジン(コントミン®)、カルバマゼピン(テグレトール®)など |
抗ヒスタミン薬 | ジフェンヒドラミン(レスタミン®)、メキタジン(ヒスポラン®)など |
消炎鎮痛薬 | ケトプロフェン(モーラス®)など |
痛風治療薬 | ベンズブロマロンなど |
降圧薬 | トリクロルメチアジド、フロセミド、ジルチアゼム、ニフェジピンなど |
抗糖尿病薬 | グリベンクラミド(オイグルコン®)など |
抗腫瘍薬 | 5-FU、テガフールなど |
高脂血症治療薬 | シンバスタチンなど |
貼り薬ケトプロフェン(モーラス®)の光線過敏症は有名です。
貼っているときはもちろん、剥がしてからも4週間ほどは成分が皮膚に残っていますので、日光にあてないよう注意が必要です。
このことを知らずに家族や友人にもらったものを使用して症状が出てしまう場合がよくあります。
自分の湿布は他人にあげない、他人の湿布は使わないようにしましょう。
予防は?
予防は?
●日光を避ける、浴び過ぎない
日焼け止めや日焼け防止手袋、スカーフ、日傘、UVカット機能つきの衣類などを活用してみましょう。
色が濃い洋服のほうが紫外線を通さないことも知っておくと便利です。
※日焼け止めを選ぶときの注意
高SPF値や高PA値、ウォータープルーフ(水に濡れても落ちにくいもの)の日焼け止めの多くには紫外線吸収剤というものが含まれていますが、これ自体が光線過敏症の原因になる場合があります。「紫外線吸収剤不使用」という表記のあるものがいいでしょう。
SPFやPAの値が高いものを1回塗るよりも、SPF30前後のものをこまめに塗り直すほうが皮膚への負担も少なく効果的です。
PA | UV-A を防ぐ効果の指標。+~++++の4段階ある。 |
SPF | UV-B を防ぐ効果の指標。 20~25分間紫外線を肌に浴びてできた日焼けと同じ程度の日焼けをするのにかかる時間が算出できる。 例)SPF30…20分×30=600分(通常20分でする日焼けに600分かかる) |
UPF | 衣類に表記されているUVカット指数。 10分間紫外線を肌に浴びてできた日焼けと同じ程度の日焼けをするのにかかる時間が算出できる。 例)UPF50…10分×50=500分(通常10分でする日焼けに500分かかる) |
●原因物質を避ける
新しく薬が処方されてから光線過敏症の症状が見られたら、主治医に相談しましょう。
明らかに原因がはっきりしている場合(湿布など)は、使用するのをやめましょう。
薬だけでなく新しく使い始めた化粧品・香水など、またそれらの添加物の変更にも注意が必要です。
治療は?
治療は?
かゆみや湿疹を抑えるために抗アレルギー剤、炎症や免疫を抑えるために副腎皮質ステロイド剤・免疫抑制剤を使用することがあります。
早めに皮膚科を受診しましょう。
日焼け止め化粧品や日焼け止め製品も日々進化して、昨今は使用感のいいものや肌に優しいものがたくさん販売されています。
皆さんも光線過敏症をはじめとした紫外線トラブルを防ぐため、自分にあった紫外線対策を探してみてください。
紫外線って悪いことばかり?日光を浴びるメリットはないの?
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紫外線を浴びることで、骨の形成に寄与するビタミンDが活性化して骨が強くなります。また体内のリズムが整い、不眠症やうつ病、免疫力向上にも効果があると言われています。1日15分程度で効果がありますので、外出して日光を浴びましょう。
(薬剤師 澤谷 真希)