インフルエンザとタミフル

特集 No.82 2006年発行

インフルエンザとは
 インフルエンザは一般的な風邪と症状が似ているところがありますが、全く違う疾患です。一般的な風邪は「ライノウイルス」などの色々なウイルスで起こります。徐々に発病し、咳・鼻炎症状が現れ、熱は出ても大人では37℃台程度がほとんどで、全身症状はあまり見られません。これに対して、インフルエンザは「インフルエンザウイルス」によって引き起こされます。急激な発熱で始まり、1~2日で熱が38~ 39℃にまで上がるのが特徴です。同時に体がだるい、関節痛、筋肉痛などの全身症状や、咳、鼻水の症状が現れ、下痢、嘔吐などが起こることもあります。小児ではごくまれに脳症を引き起こすことがあります。また、体力の衰えたお年寄りなどがかかると、肺炎になり重くなる場合があるので注意が必要です。
インフルエンザから身を守るには
 「予防」が第一です。毎日の手洗い・うがいをしっかり行い、流行期には人混みを避け、マスクをする事も有効です。ウイルスが体の中に入っても、発病するかどうかは、健康状態にかかっています。睡眠を充分にとり、疲労をためない規則正しい生活を送ることが大切です。また、必要な場合には予防のためにワクチンを接種しましょう。
インフルエンザにかかったかな?と思ったら
 ふだん健康な若い人は、インフルエンザにかかっても重症化することなく自然に治ります。治療の原則は、休養と睡眠、そして充分な水分と栄養をとることです。咳、鼻水、下痢、嘔吐などの症状が激しい場合には、対症療法(症状を抑える治療)によって体を楽にします。しかし、高熱が出た場合に、自分の判断で安易に手持ちの解熱鎮痛剤を使用することは危険です。インフルエンザの時に、アスピリンやある種の解熱鎮痛剤を使用すると「インフルエンザ脳炎・脳症」などを起こす事があるからです。医療機関を受診して適切な処置を受けることをお勧めします。(カロナール錠、カロナール細粒、アンヒバ坐薬など「アセトアミノフェン」製剤は使用できます。)
インフルエンザの治療薬・タミフルとは?
 インフルエンザの治療薬として平成13年から「タミフル」が使われ始めました。タミフルは、A型とB型のインフルエンザウイルスの増殖を抑える作用があり、インフルエンザにかかってから『48時間以内に服用する』事によって『発熱などの期間を約一日短くする』薬です。「インフルエンザの特効薬」などと報道されたため、年々使用量が増え続け、日本では世界で使われる約7 割を消費しているといわれています。
 ふだん健康な人がインフルエンザにかかった場合は、5~8日で自然に治り、免疫を獲得します。ですから、インフルエンザにかかった人すべてにタミフルが必要なわけではありません。しかし、咳や鼻水、下痢、嘔吐などの症状が激しく、高熱が出てぐったりしていたり、高齢者やもともとの病気があるなど、インフルエンザが重症化しやすい人には状態に応じて処方されます。
タミフルの副作用について
 最近になって、「幻覚」や「異常行動」などの副作用の疑いについて報道されました。これについては、副作用か病気そのものによる症状かなど、今後の解明が求められています。昨シーズンひまわり薬局で調査した中に、服用後、睡眠した後しばらくして目を覚まし、異常な言動をした例もありましたので、服用後しばらくは注意してください。
また、3割の方に、腹痛・軟便・下痢・吐き気などの副作用と思われる症状が出ていました。その他メーカーからは、「アレルギー症状」「血便」「低体温」などの副作用報告もあります。タミフルを服用して何か変わった症状が出た場合は、中止して医師・薬剤師にご相談下さい。

過去のスペイン風邪や香港風邪などのような新型インフルエンザの世界的大流行に備えて、国はタミフルの備蓄増量の方針を決めました。タミフルはよく効く薬だからと多用しすぎると、「耐性ウイルス」が増えて、いざと言う時にタミフルが効かなくなることも心配されます。日ごろから睡眠、栄養を充分にとり、体調を整えておきましょう。
  薬剤師 中山 春香・在原 晶子

インフルエンザのワクチンを接種したのにインフルエンザにかかってしまったと言う話を聞いたことがあります。接種しても意味がないのではないのでしょうか?

 ワクチンを接種してもインフルエンザを完全に予防できるわけではありません。
 しかし、集団生活をしている方、高齢者の方、心臓や呼吸器の病気などを治療中の方にはお勧めします。また、ワクチンを接種していた場合インフルエンザにかかっても重症化や合併症を減らすことが出来ると言われています。
                                           薬剤師 中山 春香・在原 晶子