メタボリックシンドローム

特集 No.86 2006年発行

メタボリックシンドロームとは?
 肥満、高脂血症、高血糖、高血圧といった、動脈硬化の原因となる病気をいくつも併せ持った状態をいいます。動脈硬化が進むと、「狭心症」や「心筋梗塞」、「脳梗塞」などの重大な病気を引き起こします。各々の症状が軽くても、それらが重なることによって動脈硬化の危険性が大きくなると言われています。
なぜ起こる?
 それは内臓脂肪の蓄積がおおもとにあります。内臓脂肪は、食べすぎや運動不足などでたまっていくもので、過剰にたまると、「アディポサイトカイン)」という機能調節物質の体内バランスが崩れてしまいます。そうなると、高脂血症、高血糖、高血圧になりやすくなり、動脈硬化が進んでしまいます。
アディポサイトカインには、善玉の「アディポネクチン」や、血栓をつくる悪玉の「PAI-1(パイワン)」などがあります。
注意する基準の値
 日本では、「おへその高さの腹囲」「血中の脂質」「空腹時血糖」「血圧」を診断基準としています。
ただし、メタボリックシンドロームの診断基準については、まだはっきりしていない部分もありますので、生活改善の参考にして下さい。
☆おへその高さの腹囲 男性85cm以上
女性90cm以上
※一般に、女性は男性と内臓脂肪が同じでも、皮下脂肪が多いため数値が大きめに設定されています。
腹囲でひっかかった方は下をチェック!
1~3のうち、2つ以上当てはまる方は要注意です。
脂質
中性脂肪(トリグリセリド)150mg/dl以上
または、
HDL コレステロール 40mg/dl未満
空腹時血糖
110mg/dl以上
血圧
最高血圧 130mmHg以上
または、
最低血圧 85mmHg以上
メタボリックシンドロームを防ぐためには?
 内臓脂肪を減らすことが重要です。内臓脂肪は「つきやすく、取れやすい」脂肪なので、体重を約5 %(体重60kgの人で3kg)減らすことができれば、かなりの改善がみられるはずです。日々の生活の中で「一日 300kcal()を余分に消費する」、「規則正しい食事」を心がけてみましょう。
ウォーキングだと約10000歩、自転車だと約1時間こげば300kcalを消費できます。食事は、野菜を多めに、しっかり3食、腹八分目が理想です。
みなさんも、できることから少しずつ、試してみてはいかがでしょうか?
 
300kcal は食べ物にするとどれくらい?
→ご飯だと茶碗山盛り1杯、ビール約750ml、ケーキ1個強、ポテトチップス約50gくらいです。
  西区ひまわり薬局 渡邊 敏貴

なぜおへそ周りを測定するのですか

なぜおへそ周りを測定するのですか

 肥満度を表すのに体格指標(BMI =体重(kg)÷身長(m)÷身長(m))がよく知られていますが、同じBMI でも、ぽっちゃりとお尻や腰周りに脂肪がついている皮下脂肪型の肥満の人と、スラッと見えるが太鼓腹というような内臓脂肪型肥満の人では内臓脂肪型肥満の人のほうがメタボリックシンドロームになりやすいと言われています。内臓脂肪とは腸や胃の周りについている脂肪のことを言います。

そのため、内臓脂肪を正確に測るにはCTスキャンを行うのが望ましいのですが、まずはご自分のおへそ周りを測ってみましょう。