やけど
特集 No.94 2008年発行
「やけど」は生活の中で日常的に起こりうる事故です。特に冬期は暖房器具の使用も増え、食事も温かいものがおいしい季節であり、「やけど」がふえる時期でもあります。「やけど」というと熱い物や火に触れるとできると思われがちですが、体温より少し高い40~50度の温度の物に長時間触れている場合も起こることがあります。これを「低温やけど」といいます。また、過度の日焼けなども立派な「やけど」と言えます。 今回はそんな身近な「やけど」とその正しい応急処置について特集します。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(薬剤師 渡邊 大三)
使い捨てカイロはなぜ熱くなるのですか?
使い捨てカイロはなぜ熱くなるのですか?
一般的に使い捨てカイロの中には、鉄粉、水、活性炭、塩分が入っています。カイロの熱は、鉄の粉が空気に触れて錆びるときに発生する熱を利用しているのです。
海岸では鉄が錆びやすいのと同じ原理で、錆びやすくして熱を発生させるために、塩分を含んだ木の粉なども少し入っています。活性炭には空気を吸い寄せる力があり、鉄のそばに空気を送りこんで反応が長く続くという作用があります。
さらに、内袋の穴の大きさや数が調整され、ちょうど良い量の空気だけが通るように作られています。こうして鉄の粉が少しずつ錆びることによって、温度が上がりすぎないようになっていますので、内袋を破ってしまうと反応が一気に進み高温になって危険です。内袋は破らないようにご注意ください。
ちなみに、公園の鉄棒も錆びていることがありますが、棒の表面だけがゆっくり錆びるので、熱が逃げてすぐに冷めるため熱くはなりません。
(薬剤師 野村 充代)