やけど

特集 No.94 2008年発行

「やけど」は生活の中で日常的に起こりうる事故です。特に冬期は暖房器具の使用も増え、食事も温かいものがおいしい季節であり、「やけど」がふえる時期でもあります。「やけど」というと熱い物や火に触れるとできると思われがちですが、体温より少し高い40~50度の温度の物に長時間触れている場合も起こることがあります。これを「低温やけど」といいます。また、過度の日焼けなども立派な「やけど」と言えます。
今回はそんな身近な「やけど」とその正しい応急処置について特集します。
やけどの分類
  「やけど」は皮膚のどの層にまで障害が及ぶかで、Ⅰ度・Ⅱ度・Ⅲ度熱傷に分類され、外見・症状・治るまでの時間が変わってきます。


Ⅰ度~Ⅲ度熱傷の外見、症状等は下記の通りです。
 

やけどの
状況例
外 見症 状治るまで
の時間
Ⅰ度熱傷熱湯がはねて肌に付く、日焼け等皮膚が赤くなる疼痛・熱感数日で治る
Ⅱ度熱傷鍋やヤカンをひっくり返して熱湯をかぶる水ぶくれができる強い疼痛
灼熱感
2~4週で治る
瘢痕が残る
こともある
Ⅲ度熱傷火災、爆発等の事故患部が白、黒色または褐色になる。痛みはあまり感じない疼痛なし
痛覚なし
皮膚移植の
手術が必要
 ※Ⅱ度熱傷以上は医療機関での治療が必要です。
※Ⅰ度熱傷は特別な治療は必要ありませんが、やけどの範囲が広い場合や治りが遅い時は受診しましょう。
やけどの応急処置  やけどをしてしまったら…
 正しい応急処置と判断がその後の回復を左右します
  
 1.水で冷やす
  やけどはとにかくすぐに患部を水で冷やすことが大切です。冷やす時間は15~30分程度が目安です。明らかに広範囲・重度のやけどの場合は、患部を清潔なタオルで軽くおおってすぐに受診しましょう。

※湯たんぽや電気毛布などが原因で低温やけどになってしまった場合は、水で冷やしてもよくなりません。すぐに病院で診察してもらいましょう。
 2.衣服は無理やり脱がない・脱がせない
  衣服を着ている部分に熱湯をかぶってしまった場合などは、衣服を着たまま流水で冷やすようにしましょう。無理に衣服を脱がそうとすると、やけど部分の皮膚も一緒にはがれてしまうことがあります。
 3.やけど部分に包帯を巻かない
 




やけどして病院に向かうとき、自分で包帯を巻いてしまう人がいますが、病院での処置に支障をきたすので、やけど部分はガーゼか清潔なタオルで軽くおおう程度にしておきましょう。

※民間療法(醤油、アロエ、みそを塗るなど)が行われることがありますが、決して行わないでください。やけどを悪化させてしまうことがあります。
やけどを避けるためには…
 暖房器具や調理器具の説明書、注意書きに従い使用時間や温度を守りましょう。
 湯たんぽや使い捨てカイロを直接肌にあてたり、電気カーペットの上で温度を高くしたまま眠ったりしないようにしましょう。(低温やけど対策)
 小児、高齢者、体の不自由な人、病気やけがのため自分で動けない、暖房器具の温度を調節できない人等には、周囲の人が気を配りましょう。
 糖尿病の方は、末梢神経障害などで、熱さや痛みなどに気付きにくいため、やけどの発見が遅れたり、また感染を起こしやすい傾向があります。気をつけましょう。
 乳幼児のやけどは最も多く、やけどを引き起こす可能性のあるもの(ポット、
炊飯器、アイロン等)から子どもを遠ざけることが大切です。

暖房器具や火の扱いには充分注意し、快適な冬をお過ごしください。

 

(薬剤師 渡邊 大三)

使い捨てカイロはなぜ熱くなるのですか?

一般的に使い捨てカイロの中には、鉄粉、水、活性炭、塩分が入っています。カイロの熱は、鉄の粉が空気に触れて錆びるときに発生する熱を利用しているのです。  

海岸では鉄が錆びやすいのと同じ原理で、錆びやすくして熱を発生させるために、塩分を含んだ木の粉なども少し入っています。活性炭には空気を吸い寄せる力があり、鉄のそばに空気を送りこんで反応が長く続くという作用があります。
さらに、内袋の穴の大きさや数が調整され、ちょうど良い量の空気だけが通るように作られています。こうして鉄の粉が少しずつ錆びることによって、温度が上がりすぎないようになっていますので、内袋を破ってしまうと反応が一気に進み高温になって危険です。内袋は破らないようにご注意ください。
ちなみに、公園の鉄棒も錆びていることがありますが、棒の表面だけがゆっくり錆びるので、熱が逃げてすぐに冷めるため熱くはなりません。
                                               

(薬剤師 野村 充代)