ノロウイルスについて

特集 No.99 2008年発行

近年、ノロウイルスが原因の感染性胃腸炎や食中毒が年間を通じて発生しており、特に冬季 (11月~3月)に流行しています。学校や福祉施設、飲食店などでは集団感染が起きています。
健康な方は軽症で回復しますが、子どもやお年寄りなど、抵抗力が弱い方では重症化する事もあります。ノロウイルスについてはワクチンがなく、また、治療は点滴などの対症療法に限られますので、徹底した予防対策が必要です。
感染源となりうるもの
 1.感染者の便やおう吐物を介して、人から人への感染
2.ノロウイルスに汚染された食品や飲料水、調理器具
3.汚染された二枚貝類を生あるいは十分に加熱せずに食べる
  
 
 
なぜ、貝が原因になると言われているの?
 二枚貝は大量の水を吸い込んでえさを取り込むので、えさと一緒にウイルスを体内に凝縮してしまうことがあります。これを主に冬場、生で食べて食中毒になった事例が多かったため、「貝が原因」という印象が強くなってしまったのではないかと考えられます。最近は二枚貝以外の魚介類や生鮮食品、加工食品等でも感染源になりうることが確認されています。
ノロウイルスの特徴
 ○ヒトの腸管内で増殖する (貝や食品中では増殖しない)
○主な症状は吐き気、おう吐、下痢、腹痛、発熱
○潜伏期間は1~2日間
○症状が回復しても、その後2週間は便の中にウイルスが排泄される
○少ないウイルス量でも感染・発病する (感染力が強い)
○ウイルスの活動能力を失わせるには加熱や次亜塩素酸ナトリウムが有効
(消毒用アルコ―ルや逆性石けんでは効果がない)
  
 
 
次亜塩素酸ナトリウムはどこで手に入れられるの?
 次亜塩素酸ナトリウムは市販の家庭用塩素系漂白剤 (ハイター、ブリーチ等)にも含まれています。スーパー、ドラッグストア等で購人できます。
  
 
 
どのように使用したらよいの?
水でうすめて使用します。使用用途により調節しましょう。
1.おう吐物や便の処理に使用する場合→0.1%の濃度で使用する

2.調理器具、衣類、トイレなどを消毒する場合→0.02%の濃度で使用する
原液4ml(キャップ約1/5杯)を水でうすめて全量を1Lにする。
※次亜塩素酸ナトリウムは時間が経つにつれ、効果が薄くなってきます。基本的には作り置きせず、使う時に薄めましよう。
ノロウイルスの感染症の治療
  激しい症状は1~2日程度続き、腹部不快感は残りますが、3日くらいで治ることが多いです。ノロウイルスによる感染性胃腸炎は自然に治るので、特別な治療薬はありません。脱水症状が強い場合は、点滴などが必要になることがあります。特にお年寄りや乳幼児では脱水症状になりやすいので、水分をこまめにとって、安静にしましょう。また、下痢を止めるとウイルスがとどまり、症状が長期化するので、安易に下痢止めを使用しないようにしましょう。
ノロウイルス感染症防止のために
 ○食品の加熱調理 (中心温度85℃1分以上)
○二枚貝類は中心部まで十分加熱する
○調理器具を介した感染の予防
○石けんによる手洗い
○下痢などの症状がある場合は、食品の取り扱いを避ける
○便やおう吐物は乾燥しないうちに手袋、マスク等を使用して処理し、次亜塩素酸ナトリウムで十分に消毒する。
 特に重要な予防方法は手洗いです。帰宅後、食事前には流水・石けんにより手洗いを行いましょう。石けん自体にはノロウイルスの活動能力を失わせる効果はありませんが、手の汚れを落とすことにより、ウイルスを手指からはがれやすくする効果があります。


ウイルスを落とす効果的な手洗いは?

汚れが残りやすいところは、
◆指先や爪の間
◆指の間
◆親指の周り
◆手首
◆手のしわ
以上のポイントを重点的に手洗いしましよう。また、その際は時計や指輪を外し、爪は短く切っておきましよう。30秒以上しっかりと洗い、すすぎは十分に行い、最後は清潔なタオル又はぺーパータオルでしっかりと水滴を拭き取りましよう。
 
※ただし、消毒薬を使いすぎると手が荒れ、かえってウイルスや最近が付着しやすくなります。調理の前やトイレの後、汚物の処理後など、特に必要なときに消毒薬を使用しましょう。


(薬剤師 木次谷 賢志)