歯の健康について

コラム No.197 2025年3月発行

むし歯とは、口の中に住みついているむし歯原因菌が食べ物や飲み物に含まれる糖質を分解して作る酸によって、歯が溶かされてしまう疾患です。

人の唾液にはこの酸を中性に近づける作用があり、さらに唾液中に含まれるカルシウムなどが歯の修復を行います。

しかし、糖分の摂取量・頻度が多かったり、歯みがきの磨き残しが多かったりすると、唾液による修復が間に合わずむし歯になります。


細菌は歯に付着しても多くの場合、唾液で流されますが、唾液の流れが悪い場所に付着するとそこで増殖を始めます。

特にむし歯原因菌は粘着性が高い物質を出し、歯の表面に強固なプラーク(歯垢)という菌とその産出物質のかたまりを作り出します。

プラークは食後数時間で形成され、プラーク1mgの中には数億個以上の細菌が存在すると言われています。


歯みがきは、歯の表面からプラークを機械的に除去しますが、歯みがきだけではプラークを毎日完全に除去することは不可能と考えられています。

プラークは奥歯の噛み合わせの溝や歯の間、歯茎と歯の境目など、歯みがきでは取り除きにくい場所にも存在します。
このため毎日の歯みがきに加えて、定期的に歯科の診察を受けましょう。


歯の健康が損なわれることで、心疾患につながったり、糖尿病が悪化したり、全身の健康状態に悪影響がでるという報告が多数あります。


今一度、歯の健康を見直してみてはいかがでしょうか。

(薬剤師 佐々木 康行)

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