一般用医薬品(市販薬)「その薬の使い方は正しいですか?~上手にセルフメディケーションを」
一般用医薬品は薬局・薬店ドラッグストアやインターネットで購入できる市販薬です。手軽に使用することが出来ますが、特に若年者に正しい使用がされていないために健康被害を起こす事例が増えています。
市販薬だから安全ということはありません、注意点をいくつかご紹介します。
注意.1
濫用(らんよう)等のおそれのある医薬品
※濫用(らんよう):むやみやたらに使うこと。不適切な使用で依存や中毒症状を引き起こす可能性があります。
濫用等のおそれのある成分 | 主な効能 |
---|---|
エフェドリン | 鎮咳薬 |
コデイン | 鎮咳去痰薬 |
ジヒドロコデイン鎮 | 鎮咳去痰薬・総合感冒薬 |
ブロモバレリル尿素 | 解熱鎮痛薬・鎮痛薬 |
プソイドエフェドリン | 総合感冒薬・鼻炎薬 |
メチルエフェドリン | 総合感冒薬 |
令和5年に「濫用等のおそれのある医薬品」の範囲が変更され、今まで指定されていなかったコデイン等を含む総合感冒薬も該当するようになりました。
市販薬では約750種類の製品に含まれています。これらを治療以外で使用することや、頻回・過量に服用することはやめましょう。
原則として一人一包装以上購入する場合はその理由が必要です。
購入者が若年者の場合は、氏名や年齢の確認をします。
コデイン、ジヒドロコデイン含有製剤
以前は子どもにも使用されていましたが、令和1年に「12歳未満の子どもに服用させてはいけないこと」に改定されました。呼吸が遅くなる、浅くなるなどの呼吸抑制のおそれがあり安全性の観点から変更になっています。
注意.2
薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)
MOH:medication-overuse headache
鎮痛剤などを使いすぎることで起こる頭痛のことです。
鎮痛剤を繰り返し使用すると、脳が痛みを敏感に感じとるようになり、薬を飲んでいるのに痛みがとれない状態になってきて頭痛が慢性化してきます。
また無水カフェインを含む鎮痛剤は依存性を招きやすく使いすぎになる傾向があります。薬の使いすぎによる頭痛の診断基準は、月に10~15日以上鎮痛剤を飲んでいる場合などとなっています。
注意.3
アセトアミノフェン・ロキソプロフェン含有製剤(風邪薬や解熱鎮痛剤)の副作用
これらは市販薬・医療用医薬品として広く使用されています。
服用後に皮膚が広い範囲で赤くなったり、発熱、リンパ節(首、わきの下、足の付け根等)のはれ等があらわれる薬剤過敏症症候群や、まぶたの腫れ、目の充血など目に異常が現れたり、発熱や唇のただれなどがあらわれるスティーブンス・ジョンソン症候群という副作用がまれに起こることがあります。そのような場合は服薬をやめ、至急医療機関の受診をしましょう。また、アセトアミノフェンでは使用量が多いと肝機能障害をおこすおそれがあります。
購入する際は、薬剤師や登録販売者にアドバイスをもらうようにしましょう。
かかりつけ薬剤師をもつと、自身の体質や状態、症状にあった薬の相談ができます。
(薬剤師 四方 晴美)
薬の使いすぎによる頭痛かもしれません。どうすればよいでしょうか。
薬の使いすぎによる頭痛かもしれません。どうすればよいでしょうか。
頭痛の適切な治療をうけるために医療機関の受診をお勧めします。
頭痛の病状にあった治療をうけてください。医療用医薬品には頭痛の種類による治療薬・予防薬があります。また、いつどのようなときにどんな頭痛がおこるのか頭痛ダイアリーを記入しておくと診療の際に役立つと思います。
(薬剤師 四方 晴美)
ご覧になった時点と情報が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。