質のいい睡眠をとりましょう

特集 No.194 2024年9月発行

「眠りが浅く、夜中に何度も起きてしまう」「ちょっとした音でも目が覚めてしまう」「しっかり寝たはずなのに疲れが残っている」など、睡眠に関する悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。

睡眠の質が悪いと体調に影響してしまうので、できるだけ質のいい睡眠をとるための環境を整えることが大切です。

睡眠の質を高める方法


起きたら朝日を浴びる

朝日を浴びると体内時計がリセットされると共に、睡眠ホルモンと言われる「メラトニン」の分泌が止まり、15~16時間後に再び「メラトニン」が徐々に分泌されて次第に眠気が起こります。

寝つきをよくするためには、朝起きてすぐに朝日を浴びることが重要です。


朝食を摂る

朝食は体と脳を起こすためのスイッチです。

朝食を摂ることで夜に「メラトニン」が作られて自然に眠くなります。

定期的に運動をする

軽いジョギングやウォーキングなどの有酸素運動を行うことで良い睡眠につながります。

30分程度行うことが良いと言われていますが、運動が難しい場合は寝る前にストレッチをすることも効果的です。

ストレッチをすることで筋肉の緊張がほぐれて血行を良くすることで自然な眠りにつながります。


入浴は寝る2時間前に

人の身体は体温が下がると眠くなるため、入浴することで一度体温を上げ、その後体温が下がることで寝つきやすくなります。

リラックス効果が得られることもポイントです。


ぬるめの温度(39~40℃程度)で、10~15分くらい湯船につかります。

体温が下がるまでの時間を考えると、寝る2時間前に済ませるのが理想です。

シャワーの場合は、寝る1時間くらい前に少し熱いと感じるくらいの温度(41~42℃くらい)で足先や首の後ろ側に当てると良いでしょう。

睡眠のために気を付けること


アルコール、カフェインの摂取

アルコールには眠くなる作用がありますが、眠りが浅くなってしまいます。

また、利尿作用もあるため途中で目が覚める原因となります。睡眠薬代わりにアルコールを摂取することは避けましょう。
カフェインも覚醒作用があるので、寝る4時間前までにしましょう。

寝る前にスマホなどの画面を見ない

スマートフォンやテレビなどの画面を見ると、画面の光によって目がさえてしまい、寝つきが悪くなります。

少なくとも寝る前の30分間は画面を見るのは控えましょう。


昼寝

睡眠不足や疲れているとき、短時間の仮眠で疲労や午後の時間帯の眠気を解消することができます。


しかし仮眠を長時間とってしまったり、夕方以降に仮眠をとったりすると眠れなくなる原因にもなります。

昼寝をする場合は、午後3時までの時間帯で20~30分を目安に行いましょう。


睡眠時間にこだわらない

適切な睡眠時間は人によって異なり、また季節や体調などでも変わります。

無理に寝ようとして眠れないとそれがストレスになって睡眠の質が落ちてしまいます。

起きる時間を決めて眠くなったら寝るようにしましょう。

日中に眠気がなければ睡眠が十分にとれていると思っていいです。

寝だめをすることも睡眠の質を落としてしまうので避けましょう。

睡眠薬


生活習慣を見直しても不眠などが改善しないときは病気の可能性があるので、主治医に相談をしましょう。


睡眠薬は不眠の種類によって使用する薬が変わるので、寝つきが良くない、夜中目が覚めてしまうなど具体的な症状を伝えることが大切です。


高齢になると体の機能が低下しているので、若い人以上に睡眠薬の服用には注意する必要があります。

転倒などで骨折をする恐れもあるので、眠れないからといって自己判断で安易に薬を増やさないようにしてください。


眠れるようになったと思って飲むのを急にやめてしまうと不安になったり、イライラしたり、逆に眠れなくなったりする離脱症状がおこることがあるので、睡眠薬をやめる際は主治医と相談のうえ、少しずつ量を減らしていくようにしましょう。


なお、ドラッグストアなどで購入できるものは「睡眠改善薬」といい、一時的な眠れない症状に使用するものなので、医師が処方できる「睡眠薬」とは薬の成分が異なります。

睡眠随伴症状


睡眠薬の副作用の中には、寝ている時に大声を出したり、寝床を出て歩き回り、場合によっては外に出たり、寝ている間に何かしら食べたり飲んだりすることがあり、それらの行動を全く覚えていない「睡眠随伴症状」というものがあります。

睡眠随伴症状があることに気づいた場合は、医師や薬剤師に相談をしてください。

(薬剤師 片野 智)

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