薬物乱用頭痛
頭痛もちの人は、頭痛を我慢することにより生涯で健康な時間(健康寿命)が2年失われるともいわれています。
日常的に頭痛に悩む「頭痛もち」の人は、日本人の3人に1人ともいわれています。
ストレス、睡眠不足、不規則な生活、姿勢、目の疲れなどにより頭痛が起こる方も多くいます。
今回は頭痛が続くために頭痛薬を使用しすぎることで起こる「薬物乱用頭痛」について紹介します。
薬物乱用頭痛とは?
「月10~15回以上頭痛薬をのむ」、「3か月以上頭痛薬を過剰摂取している」ような状況になっていると薬物乱用頭痛と診断されます。
「頭痛に対する不安から薬を早めに飲む」、「頭痛はないけれど予防のために薬を飲む」という方に起こりやすいです。
むやみに頭痛薬を飲みすぎると薬の効果が低下するとともに、頭痛に敏感な状態となり、ちょっとした痛みに強く反応するようになります。
頭痛薬の中でも複数の鎮痛剤の成分やカフェインが含まれている複合鎮痛薬で起こりやすいとされています。
複合鎮痛薬は市販薬に多く、手軽に手に入れやすいものもあるので、使用頻度には注意が必要です。
また、カフェインはエナジードリンクやコーヒーなどにも多く含まれているので、むやみに飲みすぎないよう気を付けましょう。

薬物乱用頭痛の症状と服用状況
頭痛の回数が増え、毎日のように痛みがある。
朝から頭痛がある。
服用していた頭痛薬が効かなくなったように感じる。
3か月以上継続して原因となる頭痛薬を服用している。
原因となる薬を月10~15回以上服用している。
原因となる薬
- アセトアミノフェン、アスピリン、ロキソプロフェン、イブプロフェンなど(市販薬にも含まれる)
- クリアミン、イミグラン(スマトリプタン)、ゾーミッグ、マクサルトなど(病院で処方される片頭痛の薬)
治療方法
- 薬物乱用頭痛の治療には、原因となっている頭痛薬をすぐに中止する方法や、徐々に減らす方法があります。
- 頭痛には原因や症状の出方によって種類があり、対処法も異なります。
- 頭痛の種類によっては薬を中止すると、また痛みが強く出てしまうことがあります。
- 原因となっている痛みに対しての対処法や予防について相談するため医療機関を受診することをおすすめします。
- 慢性的な頭痛がある場合、「頭痛ダイアリー」を使用すると自分の頭痛の症状や頻度、薬の服用状況等が把握しやすくなります。
- 薬物乱用頭痛は薬を中止することで7割の方は治ると報告されています。
- しかし、再発することもあるので再発防止のために「頭痛ダイアリー」をつけて定期的に頭痛薬の服用状況を確認しましょう。
- 「頭痛ダイアリー」は医療機関でもらったり、製薬会社や頭痛学会のホームページからダウンロードできます。

頭痛ダイアリーの記載内容
- 日付
- 頭痛が起こったタイミング(午前・午後・夜)
- 痛みの程度(軽度・中等度・重度の3段階で評価)
- 薬について(服用の有無、薬の種類と効果の有無)
- 日常生活への影響度(3段階で評価)
- 生理の有無(女性の場合)

頭痛薬で一時的に痛みを緩和できても、根本的な治療にはならないこともあります。
自己判断で頭痛薬を服用することで今回紹介したような薬物乱用頭痛が起こる可能性もあります。
頭痛が治らないときは、早めに医療機関を受診しましょう。
(薬剤師 加藤 舞)
頭痛だけでも受診していいの?
頭痛だけでも受診していいの?
日常生活に支障をきたす頭痛が起こったり、長く続いたり、繰り返したりする方は迷わず受診しましょう。
「頭痛ダイアリー」をつけて相談することで症状が先生に伝わりやすくなります。
頭痛専門の外来にかかるのが良いですが、見つからない場合はまずは一般の内科や脳神経科で相談するとよいでしょう。
急激に強い頭痛が起きたり、高熱を伴う場合は命にかかわることもあるので、すぐに受診しましょう。
(薬剤師 加藤 舞)
ご覧になった時点と情報が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。