その腹痛、放っておいて大丈夫?

特集 No.200 2025年9月発行

腹痛の原因はさまざまです。

腹痛は日常でよくある症状ですが、痛みの場所や痛み方、他の症状からある程度の見当をつけることが出来る場合もあります。


主な原因の一例


主な原因の一例

主な原因の一例

原因症状
暴飲暴食、冷たい物などによる胃腸への負担胃の痛み、吐き気、下痢
便秘により腸内に便が溜まってガスが発生下腹部の張りや不快感
ストレスによる自律神経の乱れで腸が過敏に反応キリキリ・チクチクするような痛み
婦人科系疾患:排卵痛、月経痛、子宮内膜症など下腹部の周期的な痛み
泌尿器疾患:膀胱炎、尿路結石など排尿時の痛みや、体動時の激しい痛み
ノロウイルス、サルモネラなどの胃腸炎急な嘔吐・下痢・発熱・腹痛


その他にも腸閉塞や消化管穿孔、虫垂炎など手術が必要となる場合もあります。


こんな腹痛はすぐに病院へ!


こんな腹痛はすぐに病院へ!

こんな腹痛はすぐに病院へ!

腹痛の中には、放っておくと病気が進行してしまうものがあります。
自己判断で様子を見てしまうのは危険な場合もあるため、以下の症状が見られたら早めの受診をお勧めします。


強い痛みが数時間以上続いている。
食事や水分が摂れない、すぐに吐いてしまう。
発熱を伴っている。
血便や黒っぽい便が出る。

痛みの場所が時間とともに変化する。
  (例:盲腸では最初はみぞおち付近→右下腹部へ)
下腹部に激しい痛みがある。


「少し変だな」「いつもと違うな」と感じたら、早めに受診しましょう。

腹痛を予防する生活習慣


腹痛を予防する生活習慣

腹痛を予防する生活習慣

毎日の生活を少し意識するだけでも、腹痛の予防に繋がります。
特に季節の変わり目や、食生活が乱れがちな時期には以下のポイントを心がけましょう。

  • 食べ過ぎに注意し、ゆっくりよく噛んで食べましょう。
    →胃腸への負担を減らし、消化吸収をスムーズにします。

  • 冷たい物の摂り過ぎを避けましょう。
    →特に夏場は冷たい飲み物・アイスなどでお腹が冷えて痛みや下痢を起こしやすくなります。

  • 便秘の人は食物繊維を意識して摂りましょう。
    →野菜・海藻・きのこ類などをしっかり摂り、腸内環境を整えることが便秘由来の腹痛予防に繋がります。

  • お腹を冷やさないようにしましょう。
    →腹巻や温かい服装で、外からの冷えを防ぐことも大切です。

  • ストレスをため過ぎず、軽い運動も取り入れましょう。
    →ウォーキングやストレッチなどは腸の働きを助け、ストレス解消にもつながります。


こうした日々のちょっとした積み重ねが、腹痛の予防に役立ちます。
自分に合った生活スタイルを見つけて、無理なく続けることがポイントです。

お薬の使い方にも注意しましょう


腹痛に対して市販薬を使う場合は、症状や原因にあった正しい使い方がとても大切です。
3つほど例を出しますので参考にしてみてください。


整腸剤(例:ファスコン整腸錠、ビオスリーHi 錠など)
腸の働きを整え、便秘や軽い下痢の改善に役立ちます。

体質や症状によって効果の感じ方が異なるため、使用しても症状の改善がみられない場合は病院へ受診しましょう。


鎮痛薬(例:ブスコパンA錠など)
痛みを和らげるための薬ですが、腹痛の原因が胃腸炎や感染症、胆石などの重大な病気の場合、痛みだけを抑えてしまうと原因の特定や適切な治療が遅れる可能性があります。
使用しても痛みが強い、または長引く場合は病院へ受診しましょう。


下痢止め(例:ストッパ下痢止めEX、ピタリットなど)

ウイルスや細菌の感染症が原因の場合は、体内の異物を排除するために下痢が起こる事があります。

そのため、むやみに下痢止めを使うと症状が悪化する恐れがあります。


最後に


  • 「いつもの腹痛だから」と自己判断で済ませてしまうことは、思わぬ病気の見逃しに繋がる事があります。
    腹痛は日常的な症状である一方、重大な病気のサインであるかもしれません。
    痛みの程度や続く時間、他の症状をよく観察する事がとても大切です。

    市販薬の選び方や使い方で迷ったときや気になる事があれば薬剤師が相談に応じますのでお気軽にお声がけください。
    ※なお、店舗によっては販売していない市販薬もございますので予めご了承ください。

(薬剤師 大内 翔貴)

腹痛は天気や気圧と関係がありますか?

腹痛は天気や気圧と関係がありますか?

天気や気圧の変化が、自律神経に影響を与えて腹痛を引き起こすことがあります。
気圧の変化に敏感な方は、頭痛やめまいだけでなく、胃腸の不調を訴えるケースもあります。
特に低気圧が近づくと「副交感神経」が優位になり腸の働きが活発になりすぎて、腹痛や下痢を起こしやすくなる可能性もあります。

これは「気象病」や「天気痛」と呼ばれることもあり、最近注目されている症状の一つです。

対策としては、生活リズムを整えたり、ストレッチや軽い運動で自律神経を安定させることが効果的です。
天気に応じて体調を予測して過ごすのもセルフケアの一つです。

(薬剤師 大内 翔貴)

※記載された情報は発行日時点の情報です。
ご覧になった時点と情報が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。