2025 薬学生のつどい in 北海道が開催されました

トピックスイベント 2025年10月28日 トピックス

 913日~14日に北海道・東北地協主催の薬学生のつどいを札幌で開催し、北海道・東北地方から30名の薬学生・薬剤師・事務職員が参加しました。薬学生のつどいは、民医連で働く薬剤師と薬学生の交流企画として毎年開催し、民医連の医療や各地方のトピックなどを学習し、交流しています。

 1日目は札幌駅に集合しバスで移動、道中では学生が考えた自己紹介ビンゴをして交流しました。会場の勤医協中央病院に到着し、2つのグループに分かれて病院・薬局見学に向かいました。勤医協中央病院では薬剤科を中心に見学し、業務の流れ、医師や看護師との連携、病院としての役割などを薬剤科長に説明していただきました。東区ひまわり薬局の見学では、調剤業務やアプリの活用で待ち時間を短縮していること、一包化監査システムや全自動錠剤払出機などについて薬局長が説明しました。参加者からは、「病院と薬局では薬の配置方法やピッキングシステムの有無など調剤方法に違いがあり 、それぞれでミスをしない工夫をしているのが興味深かった。」、「それぞれの業務に合わせて機械を導入していて、比べてみることで新しい発見があり面白かった。」などの感想がありました。

 見学のあと、民医連薬剤師の活動報告として原水爆禁止世界大会・辺野古支援・福島支援活動などの報告、全日本民医連副作用モニター報告についての紹介をしました。報告の中で戦争や被爆証言の語り部が高齢化していることを知った学生からは、「生の声を聞けるうちに自分でも聞いて知識を深めたいと思った。」、「次の世代に伝えていきたい。」などの感想がありました。

 その後、ホテルへ移動し夕食交流会を行いました。ジェスチャーゲームや格付けチェックなどのゲームで、薬剤師と薬学生の交流が深まりました。

 2日目は会場を北海道民医連会館に移し、北海道パレスチナ医療奉仕団の猫塚義夫団長(勤医協札幌病院・整形外科医師)より、「パレスチナの現状とこれから」と題して講演していただきました。

 講演では、パレスチナのガザ地区を中心にイスラエルの軍事侵攻による被害の状況、奉仕団の活動内容について報告されました。現地の医療物資(特に麻酔薬)が足りず、無麻酔での切断手術や帝王切開をしたり、食料が不足し、ようやくたどり着いた食料供給地点にはわずかな食料を求めて殺到した人々が、イスラエル軍に殺されてしまうなど(「死の罠」)、飢餓・餓死が進行していること、アメリカがイスラエルを支援することで状況がさらに悪化していることなどが語られました。17年にも及ぶイスラエルによる完全封鎖により「世界最大の天井のない監獄」となっているパレスチナ・ガザ地区の現状を、現地の写真や動画などを使ってリアルに伝えていただきました。

 講演の中では、パレスチナを国家として認めること、イスラエルへの軍事支援をやめること、人道支援物資の独自・緊急搬入を即時実施することを日本政府に求めていると発言されていました。講演の最後には、パレスチナ・ガザ問題の解決へ、「生活の1%の関り」を持ってほしいと参加者に訴えていました。

 参加者から、「被害にあうかもしれない地域へ行って医療従事者としての役目を果たすために大事にしていることはなんですか?」という質問に対し、猫塚団長からは、「困って手を差し伸べている人がいたら手を取ってあげる、人として当たり前の部分をベースに医療従事者としてのミッションとして捉えて活動している。」と答えられたことが印象的でした。会場には、現地で医療活動をしている4名のパレスチナ人の方々も来賓として来てくださり、「私たちは平和と正義を求めて活動し北海道に連帯を求めてやってきました。現地の暗い状況の中で北海道パレスチナ医療奉仕団はろうそくのように輝いて活動している。パレスチナの現状を知っていただき、北海道の皆様と協力していきたい。平和と正義のために一緒に手をつないでがんばっていきましょう。」と訴えられました。

 参加者の感想からは、「現地の子供たちが血を流して悲痛な叫びをあげている動画を見た時はすごく心が傷んだ。それを受け、医療従事者となったら何ができるだろうと考える良い機会になった。」「ガザのニュースをはじめ、世界各地で起こっている様々な貧困や戦争のニュースを見る目が以前より少し変わったように感じる。」などの感想がありました。

 講演終了後はグループに分かれ2日間の学習の振り返りをKJ法にて行い、学びと交流を深めることができました。

 

 (薬学生のつどい実行委員 T.H)