シャクヤク(芍薬)について

コラム No.174 2021年5月発行

「立てばシャクヤク、座ればボタン、歩く姿はユリの花」と女性の姿に例えられるように、シャクヤクはまっすぐに伸びた茎の先に大きく見事な花を咲かせます。ボタン科の多年草で、原産地はアジア大陸の東北部です。


日本へは平安時代以前に薬草として伝えられましたが、その後は観賞用として多数の園芸品種がつくられてきました。
花名は、姿がしなやかで優しい様を意味する「綽(婥)約(しゃくやく)」に由来するといわれています。
ヨーロッパでは美しい花はよくバラにたとえられ、フランスでは「聖母のバラ」、スペインやイタリアでは「山のバラ」と呼ばれています。
シャクヤクの開花時期は4〜6月で、北海道では6月の中旬に見頃を迎え、花屋さんの店頭では3〜6月に見ることができます。
花もちは4〜7日程度で、花束や華道の花材に用いられます。


また、シャクヤクは生薬(しょうやく)としても用いられています。
乾燥させた根を使用し婦人病、冷え性、筋肉の痛み等に効果があるとされ、当帰芍薬散、芍薬甘草湯、桂枝茯苓丸など様々な漢方処方にも配合されて幅広く使われています。その消費量は医薬品に使用される生薬の中で4番目に多く、シャクヤクは身近な薬用植物の1つと言えます。

芍薬のお花イラスト

漢方薬は病院の処方せんがなくてもドラッグストアなどで購入できるものも数多くありますが、漢方薬にも良くない作用(副作用)はあります。
漢方薬の種類、自身の体質、現在治療中の病気、飲んでいる薬によって効果が十分に発揮されないケースや、かえって病気を悪化させる事もあります。
漢方薬をためしてみたい方は、医師や薬剤師に相談してみると良いでしょう。

(薬剤師 若林 俊)

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