結核予防週間

コラム No.182 2022年9月発行

毎年9月24日から9月30日までは結核予防週間です。


結核は明治時代から昭和20 年代までは「国民病」「亡国病」と恐れられ50年前までは死亡原因の第1位でした。医療や生活水準の向上により新規患者数や死亡率は当時と比べると激減しましたが、昔の病気と思っていたら大間違いで、今でも日本では毎年約15000人の新しい患者さんが発生し、毎年約2000人が命を落とす重大な感染症です。


結核は「結核菌」という細菌による慢性感染症です。患者さんの咳やくしゃみなどのしぶきと一緒に結核菌が空気中に飛び散り、それを周りの人が吸い込む空気感染によりうつります。免疫力で抑えられることがほとんどですが、免疫力と結核菌が戦って結核菌が勝つと発病してしまうことがあります。主に肺に病変をつくりますが肺だけではなく、リンパ節や脳など全身の様々な場所に病変を作ることがあります。


結核と診断されたら、数種類の薬を組み合わせて治療します。6か月から9か月間、毎日きちんと薬を飲むことで治ります。しかし、症状が消えたからと言って途中で服薬をやめてしまうと耐性菌になり、治りにくくなることがあります。


結核は早期発見・早期治療が大事です。年に1度は健診を受けましょう。普段から適度な運動、十分な睡眠、バランスの取れた食事、禁煙などは結核の予防につながります。


咳や痰、微熱、倦怠感が2週間以上続く場合は早めに医療機関を受診しましょう。高齢者の場合は症状が出にくいこともあるため、食欲低下や体重減少がある場合も相談しましょう。

(薬剤師 城戸 佳代子)

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