インフルエンザワクチンについて

特集 No.160 2019年1月発行

毎年、冬になってインフルエンザの季節を前に、ワクチンをうつべきか悩む方は多いのではないでしょうか。

「去年、ワクチンをしたのにかかったし、効かないんじゃないの?」「毎年型がかわるのに、ワクチンをする意味あるの?」「インフルエンザの新しい薬がでたみたいだし、ワクチンいらないよね?」なんて思ったことはありませんか?

インフルエンザワクチンとは

インフルエンザワクチンは、ウイルスの感染力をなくして、人が免疫を作るのに必要な蛋白質だけを取り出して作る不活化ワクチンのひとつです。

インフルエンザウイルスには様々なタイプがあり、毎年流行するタイプが異なるため、インフルエンザワクチンではウイルスの感染やインフルエンザの発症を完全に防ぐことは出来ません。ウイルスが体の中に入り、増え始めたときにやっつけるのがインフルエンザワクチンの役割です。

インフルエンザワクチンタイプの決定

毎年2月に世界保健機関(WHO)が専門家を招集してどのウイルスをワクチンに含めるのか推奨株を決定します。

日本ではそれに基づき国立感染症研究所が国内の感染症の発生状況の調査・監視の結果を総合的に検討して、3月末までに次シーズンのワクチン株を選定します。

4価ワクチンとは

4シーズン前までは、A型の2種類のインフルエンザウイルスとB型1種類のインフルエンザウイルスに対して効果のある3価といわれるワクチンが使用されていました。
しかし、2015年からB型も1種類増えて2種類のインフルエンザウイルスに対応できる4価のワクチンになりました。

毎年型がかわるのに、ワクチンの意味あるの?

インフルエンザは流行するタイプが毎年変わり、実際の流行の半年以上前にワクチン株を選んでいるので、その予測の当たり外れはあります。

しかし、その予想が外れてしまっても高齢者の約45%の発症を予防し、82%の死亡を阻止する効果があったと報告※されています。


※平成9年~11年度厚生科学研究「インフルエンザワクチンの効果に関する研究」

かかってもすぐ効く薬があるし…

抗インフルエンザ薬には内服のタミフル®、吸入のリレンザ®とイナビル®、点滴のラピアクタ®があります。

昨年は新しく内服薬のゾフルーザ®も発売されました。発症後48時間以内に使用すると一定の効果を期待できます。

しかし、近年同じシーズンにA型とB型や、同じ型であっても2回以上の複数回感染する人が増えています。


これは感染が起こった時に薬でウイルスが除去されることで十分な抗体が体内で作られないうちに治ってしまうことが原因とされています。

ワクチンによる抗体で前もって免疫機能で対処する方が確実かもしれません。

卵アレルギーなのですが、ワクチン接種できますか?

インフルエンザワクチンは発育鶏卵で増殖したインフルエンザウイルスを原材料として製造されます。近年は高度に精製されていますが、ごく微量の鶏卵由来成分が残っていて、アレルギー症状がまれに起こることがあります。

米国では2017年12月に卵アレルギーのある人でもインフルエンザワクチンの接種は安全であるとの指針が出されました。一方、日本では、今後改訂される可能性もありますが、卵アレルギーの人は接種要注意者に該当します。


よって、インフルエンザにかかった場合のリスクと卵アレルギーによる副反応とのバランスを主治医とよく相談のうえ接種するか否かを決めてください。

ワクチンの予防効果はどのくらい持続しますか?

インフルエンザワクチンは接種後1~2週で抗体が上昇し始め、1~2か月後にピークに達し、3~4か月後には徐々に低下傾向を示します。
したがって、ワクチンの予防効果が期待できるのは接種後2週から5か月程度と考えられています。

抗菌薬はインフルエンザに効果がありますか?

インフルエンザウイルスに抗菌薬は効きませんが、特に高齢の方や体の弱っている方は、インフルエンザにかかることにより肺炎球菌などの細菌にも感染しやすくなっています。このため、細菌にもウイルスにも感染すること(混合感染)によって起こる気管支炎、肺炎などの合併症に対する治療として、抗菌薬などが使用されることがあります。


(薬剤師 相楽 賢一)