筋力トレーニングの基礎知識

特集 No.167 2020年3月発行

年齢とともに減っていく筋肉は、筋力トレーニング(以下筋トレ)で増やしていくしかありません。筋肉は体を動かすだけではなく、「関節を支える」「基礎代謝を維持する」「血液を送り出す」などの多くの役割があります。筋肉量の減少は、運動機能の低下だけでなく代謝量にも影響を及ぼすことから、肥満や冷え、浮腫み、さらには肌荒れ・シワ等の原因にもなります。疲れやすかったり、何かを面倒だと感じるのも筋肉低下のサイン。まずは筋トレの基礎知識を知って、効率よく「筋肉枯れ」予防を始めましょう。

筋トレQ&A

筋トレQ&A

Q1. 筋トレは何歳から始めても効果はあるの?

Q1. 筋トレは何歳から始めても効果はあるの?

筋肉の衰えは20代から起こります。ほとんど運動をしない生活をしていると、筋肉量は20歳〜60歳の間に15〜20%ほど低下すると言われています。
また、女性の筋肉量は男性の約60%程度しかないと言われます。若い頃よりペースは落ちますが、年齢に関係なく、筋肉は鍛えれば少しずつでも必ず増えていきます。

Q2. 優先して鍛えておいた方がいい筋肉は?

Q2. 優先して鍛えておいた方がいい筋肉は?

筋トレを行うのは骨格筋という骨格を動かす筋肉です。

その中でも14種類の表層筋は運動不足や加齢とともに衰えやすい筋肉です。
特に鍛えたい場所は、大臀筋 -だいでんきん-(お尻の筋肉)、大腿四頭筋 -だいたいしとうきん-(太もも前側の筋肉)など下半身の筋肉で、つまずきや転倒の予防に繋がります。

Q3. 筋トレの効果はどのくらいで出る?

Q3. 筋トレの効果はどのくらいで出る?

筋トレを始めて、筋肉がついたと実感するのは約2カ月後。始めたばかりの頃は本当に筋肉量は増えているのかと挫折しそうになりますが、心配しなくても確実に増えています。

Q4. 筋トレを続けると骨も丈夫になるって本当?

Q4. 筋トレを続けると骨も丈夫になるって本当?

筋トレは骨に負荷をかけ、成長ホルモンの分泌を促すため、骨の形成が促進されて骨粗鬆症の予防にもなります。骨も皮膚同様、新陳代謝で生まれ変わるので、筋トレで刺激を与えると強化され、丈夫になります。

Q5. 筋トレの効果が上がる時間帯はあるの?

Q5. 筋トレの効果が上がる時間帯はあるの?

筋トレに最も適した時間帯は、午後4時〜6時。夕方になると体温と筋肉の温度が最も高くなり、活発な活動に適した体内環境になります。
時間が選べるなら夕方に行いましょう。

Q6. 筋トレと有酸素運動はどちらを先にした方がいい?

Q6. 筋トレと有酸素運動はどちらを先にした方がいい?

筋肉を鍛えながら体脂肪も燃やしたい場合は、筋トレ⇒有酸素運動の順で行うのがお勧めです。
その理由は、有酸素運動を先に行うと体力を消耗して筋トレに十分な力が出せないこと、また、筋トレで成長ホルモンが分泌され、体脂肪を分解したあと有酸素運動を行うことで体脂肪が燃えやすくなるためです。


有酸素運動の例(踏み台昇降)

※台の高さは10cm〜20cmが適当


  • どちらの足からでもよいので、踏み台にのる。
  • 登った足から降りる。
  • 次は、1の反対の足からのる…

Q7. 筋トレは毎日しないと効果はないの?

Q7. 筋トレは毎日しないと効果はないの?

筋トレで筋肉を刺激すると、疲労のため一時的に筋力は低下します。その後、体を休めてタンパク質(肉や魚、卵、大豆、乳製品など)などの栄養をとると、筋肉は疲労から回復し、以前よりも少しだけ筋肉量が上がります。毎日の筋トレはあまり効果がなく、週2〜3回のトレーニングが効率的です。

Q8. ついた筋肉を維持する方法は?

Q8. ついた筋肉を維持する方法は?

ある程度ついた筋肉をキープするなら筋トレは週1回でOKですが、これを維持することが大切です。
筋肉が作られるのはトレーニング時ではなく睡眠時で、これは入眠して1〜3時間後に分泌される成長ホルモンが筋肉の成長に関わっているからです。筋トレ後は十分睡眠をとるようにしましょう。

筋トレは継続することがなにより大事。自分のライフスタイルに合わせて習慣化できる時間帯で行いましょう。

しばらく運動から遠ざかっている人は、自己流で行う前に本などで確認したり、スポーツジムなどで正しいフォームの指導を受けてから始めるとよいでしょう。

また、腰痛など持病がある人は、医師に相談してから始めましょう。

(薬剤師 渡邉 由紀)

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