脱水について

特集 No.169 2020年7月発行

世界の平均気温は長期的に上昇を続けています。日本に目を向けると札幌でも昨年、気温が30℃以上の真夏日が年18日間、気温が25℃以上の夏日が年44日間と暑さが続きました。

あわせて今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、マスクを着用する機会が増えています。

このような時に注意が必要な脱水について紹介します。

脱水のメカニズム

体内の水分やミネラルは、(1)酸素と栄養素を体内に運搬する、(2)尿や汗として老廃物を体外に排出する、(3)発汗により体温を調節する、という3つの重要な働きを担っています。私たちの体の細胞は体液を介して細胞の内外で栄養と老廃物の交換を行っています。

しかし脱水で体液が減少すると、細胞に必要な栄養が行き渡らず老廃物はたまり全身のさまざまな場所で症状が現れます。

脱水を引き起こす原因

体の中の水分が失われる状況には様々なケースがあります。

  • 高温の環境下にて多量の発汗で体内の水分が失われる
  • 水分を摂らず、気付かないうちに体内の水分が減っている状態になる
    これは屋内の環境においてよく起こることがあります。特に高齢者では体の水分量が少なく、また喉の渇きや温度に対する感覚が弱くなる傾向があり、注意が必要です。
  • 嘔吐・下痢
    嘔吐・下痢については食中毒などの急性胃腸炎で起こることが多いため、急性胃腸炎になった場合は、脱水症状が起きていないか注意が必要です。
  • 糖尿病の悪化
    症状の重い風邪などで血糖値が乱れやすく高血糖状態になると、腎臓が糖を多量の水分と一緒に尿として排出するため尿の量や回数が増加します。糖尿病の方は、食事・運動の他に、体調管理も重要になります。

脱水の諸症状

  • 口の渇き、皮膚の乾燥
    ※マスクをしていると口の渇きを感じにくいことがあります、注意しましょう。
  • 体のだるさ、筋肉のけいれん
  • 集中力の低下、発熱
  • 食欲不振
  • 急な体重減少
    ※注意:脱水がさらに進行すると頭痛・めまい、さらには意識を失うなどの重い症状になることがあります。

脱水の対策

脱水の予防として日頃からこまめな水分補給(健康な人は1日1.2リットル以上)の習慣をつけましょう。のどが渇いていない、汗をかいていないから水分をとらなくても大丈夫と思いがちですが、気付かないうちに体液が減少していることがあります。いつもより尿の色が濃い、量が少ない場合はすでに体内の水分・ミネラル不足が起こっている可能性があります。
脱水により失われた水分・ミネラルをスムーズに補給するためには経口補水液がお奨めです。
経口補水液は体液に近い成分を適切な濃度で含んだ電解質溶液のため、体内に素早く吸収されます。

ただし、血液透析・心疾患などで水分・塩分を制限されている方は適切な水分摂取の方法を主治医とよく相談し、猛暑の日に備えましょう。

(薬剤師 佐々木 康行)

ミネラルとは?

体を構成する元素で酸素、炭素、水素、窒素以外のものを総称してミネラルと呼びます。具体的にはカルシウム、リン、カリウムなど、体内にごく微量に存在する物質のことです。ミネラルの中で最も多いのがカルシウムで次いで多いリンと共に骨や歯の主成分になります。
また酸素の運搬に関わる鉄はミネラルの中では上から数えて8番目で意外に少ないと思われるかもしれませんが、鉄が不足すると貧血になってしまいます。このようにミネラルはごく微量でも体内で大切な役割を担っています。

(薬剤師 佐々木 康行