水虫の予防と治療

特集 No.170 2020年9月発行

水虫とは

水虫とは

カビの一種である白癬菌(はくせんきん)が、皮膚の角質層に寄生することによって起こる皮膚の病気です。

白癬菌は高温多湿な環境を好み増殖していきます。

そのため、靴や靴下を履くことによって湿気がたまりやすい足の指や足の裏で起こりやすいです。

また、爪や手、からだ全体にも起こることがあります。


水虫に感染するしくみ

水虫に感染するしくみ

白癬菌は水虫にかかった人の皮膚からはがれ落ちる角質の中にも生きています。

その角質を素足で踏むと菌が皮膚に付着し、傷ついた角質から入り込み、高温多湿の環境で増殖することで感染します。

菌が足などに付着してもその日のうちに水で洗い流せば感染はしません。

水虫の症状

水虫の症状

白癬菌が感染する場所によって、あらわれる皮膚症状は異なります。
足の皮膚にできる水虫には3つの種類があります。


趾間(しかん)型

足の指の間(特に中指と薬指の間)によく見られます。

赤くジュクジュクになって皮がむけたり、白くふやけてぶよぶよになったりします。

小水疱(しょうすいほう)型

かゆみが強くあらわれます。

足の裏の土踏まずのあたりや足のふちに小さな水ぶくれができ、日がたつと赤くなって皮膚がむけていきます。

角質増殖(かくしつぞうしょく)型

足の裏やかかとがカサカサと乾燥し、角質が厚く硬くなります。

その後皮膚がむけて、ひび割れが起こります。

水虫の治療方法

水虫の治療方法

水虫の治療には、皮膚に入り込んだ白癬菌をやっつける抗真菌薬を使います。
抗真菌薬は主に塗り薬を用います。塗り薬で治らない場合や重症化した場合は、飲み薬を併用することもあります。
市販薬を使用してもよくならない時は、医師に相談してみましょう。
また、症状によってかゆみが強い場合はかゆみ止めを用いることがあります。

塗り薬の正しい塗り方

塗り薬の正しい塗り方

塗り薬は、まず足をきれいに洗って乾かしてから塗りましょう。

症状がある部分だけではなく足の裏を中心に隙間なく塗ることが大切です。

足の指の間や背面、爪の周り、足の側面、アキレス腱も忘れずに塗ります。

水虫を予防するためには

水虫を予防するためには

水虫を予防するためには、原因である白癬菌が好む高温多湿な環境をできるだけ作らないことがポイントです。

  • からだを清潔に保つ
    足はむれやすく、汚れやすいため、毎日の入浴で足をこまめに洗いましょう。指と指の間も忘れずにせっけんで丁寧に洗います。軽石や角質とりは角質を傷つけやすいため、使いすぎないようにしましょう。
    また、白癬菌は足以外にも付着することがあります。からだもしっかり洗うようにしましょう。
  • 家の中を清潔に保つ
    家族に水虫に感染した人がいる時は、浴室の足ふきマットやスリッパなどが感染源になります。なるべく共用せず、こまめに洗ってよく乾燥させることが大切です。
    素足で歩くことの多い床や畳もできるだけこまめに掃除することを心がけましょう。
  • 靴や靴下を工夫することで湿気を避ける
    密閉度の高い革靴やハイヒールなどは指と指の間を湿りやすくするため、自分の足にあった通気性のよい靴を選びましょう。一日履いた靴は湿気を多く含み、菌が繁殖しやすくなるため、できるだけ数足を毎日履き替えることを心がけましょう。靴下は吸湿性の高い木綿や麻の素材を選び、よく洗ったものを毎日履き替えましょう。
  • 素足で利用する施設に行った後は気を付ける
    銭湯や温泉、プールやスポーツクラブなど多くの人が素足で利用する施設では、足ふきマット等から白癬菌が足に付着しやすいです。サンダルを履いて足が直接触れないようにします。
    また、足を水で洗い流し感染を防ぐことを心がけましょう。

参考文献:
・日本皮膚科学会皮膚真菌症ガイドライン2019
・MSDマニュアル家庭版 みずむし(足白癬)
・第一三共ヘルスケア「くすりと健康の情報局」
・マルホ株式会社「アスタットクリーム1%、外用液1%、軟膏1%」リーフ

水虫の薬はどれくらい塗り続ければいいの?

水虫の薬はどれくらい塗り続ければいいの?

水虫の薬をしばらく使ってかゆみなどの症状が治まっても、少なくとも2か月以上は薬を塗り続ける必要があります。

皮膚が新陳代謝により新しく入れ替わるまでの間、角質の奥深くに入り込んだ菌が生きていることがあるからです。
水虫ができる部位によって病巣の厚さが異なるため、趾間型では2か月以上、小水疱型では3か月以上、角質増殖型では6か月以上が目安となっています。
爪白癬の場合は足白癬に比べ治療期間が長く、程度にもよりますが完治まで1年ほどかかると言われています。
再発を防ぐためにも、根気よく毎日塗り続けることが大切です。

(薬剤師 森 椿

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