肩こりについて

特集 No.178 2022年1月発行

日本人が抱えているつらい症状には肩こりや腰痛が上位に挙げられており、寒さが厳しくなるこの時期にはより肩こりに悩まされている方は多いのではないでしょうか。

今回はそんな肩こりについてご紹介します。


肩こりとは首筋・首の付け根、肩や背中にかけて筋肉が緊張し、重圧感・鈍痛などを感じる症状の総称です。

頭の重さは5~6kgあり、その重たい頭を支えているのが首や肩の筋肉です。

支えている筋肉はたくさんありますがその中でも首の後ろから背中にかけて張っている僧帽筋という筋肉が中心になります。

運動不足による筋肉の衰え、前かがみの姿勢を続けるなど様々な要因で肩こりは起こり、酷くなると頭痛や吐き気の症状を引き起こすことがあります。

肩こりの分類は原因疾患がはっきりしている症候性、特別な原因疾患を認めない本態性、ストレス・うつ状態・自律神経障害などにより生じる心因性に分けられます。

原因は何があるの?

原因は何があるの?

運動不足やストレス、首肩が緊張するような姿勢、猫背・前かがみの悪い姿勢などが挙げられます。

筋肉が疲労し固くなることで血流が悪くなり老廃物が溜まります。

その老廃物が神経を刺激し血管を収縮し、こわばりや重だるさが現れ、慢性化すると痛みなどの肩こりの諸症状を引き起こします。

また冬だけではなく夏場の冷房が効いている部屋では寒さで筋肉が収縮し血流が悪くなるので肩こりの原因の一つになります。


最近ではデスクワークやスマートフォンで長時間同じ姿勢でいる方もいるのではないでしょうか。

原因を知り予防につなげていきましょう。

治療と予防

治療と予防

治療には薬物療法(筋弛緩薬、鎮痛薬、ビタミン剤、局所注射)やマッサージ、温熱治療があります。温熱治療とは蒸しタオルやホットパックを患部にあてたり、赤外線照射などで身体の内部から温め血流を改善する治療のことです。


予防には温かい湯舟につかる、ストレッチをするのがおすすめです。温かい湯舟につかることで筋肉の緊張が和らぎ血流改善が期待されます。

そしてストレッチは運動不足やストレスからくるものにも効果的です。

今回は簡単にできる2つのストレッチ法をご紹介します。

どちらのストレッチ法も1セット5回で、1日2~3回繰り返します。

肩や腕に痛み・しびれが強い人は無理に行わず、ストレッチ中に痛みが出た場合は中止してください。


①僧帽筋を意識して動かす


いすに座り、背筋伸ばす。
足を少し開いて両肩を耳につけるイメージで持ち上げ、

5~10秒間保つ。

5~10秒間保ったら、

体の力を抜き、両肩をストンと下ろす。


①僧帽筋を意識して動かす


いすに座り、背筋伸ばす。足を少し開いて両肩を耳につけるイメージで持ち上げ、5~10秒間保つ。

5~10秒間保ったら、体の力を抜き、両肩をストンと下ろす。


②肩甲骨周りの筋肉を動かす


左右の腕を曲げる。

少し前かがみになりながら、

体の正面で左右の腕を徐々に近づけていく

(肩甲骨の間を広げるイメージ)

体を少しずつ起こしながら、

両腕を左右に広げていく

(肩甲骨の間を狭めるイメージ)。


②肩甲骨周りの筋肉を動かす


左右の腕を曲げる。少し前かがみになりながら、体の正面で左右の腕を徐々に近づけていく(肩甲骨の間を広げるイメージ)

体を少しずつ起こしながら、両腕を左右に広げていく(肩甲骨の間を狭めるイメージ)。

(薬剤師 平野 史佳)

冷シップと温シップの違いは何ですか?

冷シップと温シップの違いは何ですか?

どちらもサリチル酸メチルという消炎鎮痛成分が含まれています。

冷シップにはメントールという成分が含まれていてスースーと冷たく感じます。

しかし実際には冷シップ自体に皮膚の温度を下げる効果はありません。

捻挫や打撲、骨折などの初期の急性の炎症を起こしている場合は、冷やした方が炎症反応は軽減しますので湿布の上から氷嚢などで冷やすほうが効果的です。

一方、温シップには体内の熱産生を促すカプサイシンという成分が含まれており、貼った部分の皮膚温度がほんのわずかに上昇します。

毛細血管が広がることで血流が良くなるので鎮痛成分の作用と合わせて炎症の痛みを和らげる効果があります。

腰痛や肩こりなどの慢性の炎症には温シップが適しますが、急性の炎症で熱を持っている部分には貼るのは控えましょう。

また温感刺激があるので入浴の30 分前にははがしましょう。


ご自身の症状や使い心地に合わせてお使い下さい。

(薬剤師 平野 史佳)

※記載された情報は発行日時点の情報です。
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