アレルギーについて

特集 No.180 2022年5月発行

北海道の5月といえば桜や梅など綺麗な花が咲き始める季節ですが、それと同時にヒノキやシラカバなどの花粉が飛ぶ季節でもあります。

それに伴い鼻水やくしゃみなど花粉症の症状に悩まされる方も多いのではないでしょうか。


花粉症はアレルギーによって引き起こされるわけですが、一体どのようなメカニズムになっているのかご存知でしょうか。

今回はそんなアレルギーの仕組みについてのお話です。

アレルギーのおこる仕組み

アレルギーのおこる仕組み

アレルギーの原因となる物質を「アレルゲン(抗原)」と言います。


アレルゲンが体内に侵入すると異物として排除しようと免疫反応が働き「IgE」という抗体が作られ、マスト細胞というアレルギー症状の原因となる物質を放出する細胞にくっつきます。

この状態を「感作(かんさ)」と言います。

いったん感作が成立した後で再びアレルゲンが体内に侵入すると、IgE抗体とくっつきマスト細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が放出され、鼻水やくしゃみなどのアレルギー症状が引きおこされます。


  • 花粉やハウスダスト、食べ物などのアレルゲン(抗原)が鼻粘膜に付着
  • アレルゲンがマスト細胞の抗体とくっつく
  • 再びアレルゲンが侵入すると、ヒスタミンなどのアレルギー誘発物質が放出
  • 鼻水、鼻づまり、くしゃみ等のアレルギー反応を起こす

抗アレルギー薬について

アレルギー症状を引き起こす原因物質として代表的なものにヒスタミンがあります。
そのため症状を改善するために処方される抗ヒスタミン薬についてお話しします。

成分名で表示


  • 第一世代

    効果は強いが眠気などの副作用もおこりやすい


    クロルフェニラミン、ヒドロキシジン、ジフェンヒドラミン、シプロヘプタジン、プロメタジン
  • 第二世代

    眠気などの副作用を軽減させたもの
    アレルギー症状における第一選択薬となることが多い


    エピナスチン、メキタジン、クレマスチン、フェキソフェナジン、レボセチリジン、デスロラタジン、ロラタジン、ケトチフェン  など


※上の表では一部の薬剤のみを記載しており、他にも多くの薬剤があります。
 病院によっては採用されていない薬剤もあります。詳しくは薬剤師までご質問ください。

◆くすりの特徴◆

  • 眠くなりにくいため車の運転をする人に適しているもの
    →フェキソフェナジン、デスロラタジン
  • 1 日1 回の服用で24 時間効果が持続するもの
    →エピナスチン、デスロラタジン、ロラタジン
  • 閉塞隅角緑内障、前立腺肥大症等に伴う排尿困難の方は避けた方がよいもの
    ※上記の症状が悪化する可能性があるため服用する際は医師または薬剤師にご相談ください
    →クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、メキタジン、クレマスチン、シプロヘプタジン、プロメタジン

抗ヒスタミン薬は市販薬として売られているものも多くあります。ご購入の際はぜひ薬剤師にご相談ください。

(薬剤師 中村 瑠里)

花粉症の人は林檎や桃にもアレルギー症状がおきやすいと聞いたことがありますがなぜですか?

花粉症の人は林檎や桃にもアレルギー症状がおきやすいと聞いたことがありますがなぜですか?

果物や野菜に含まれるアレルゲンと花粉のアレルゲンは構造がよく似ています。
そのため特定の果物や野菜を食べると、花粉が侵入してきたと体が勘違いし、すでに体で作られているIgE抗体と反応してアレルギー症状を引き起こします。
加熱によりアレルゲンの構造が変化する可能性があり、一般的な食物アレルギーよりも症状が軽いことが知られています。

しかし時には血圧の急激な低下、呼吸困難などアナフィラキシー症状が引き起こされることもあるため、アレルゲンとなる食物の摂取は避けましょう。

また、アレルゲンとなる食物がわからない場合は病院で検査を受けましょう。

(薬剤師 中村 瑠里)

※記載された情報は発行日時点の情報です。
ご覧になった時点と情報が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。