水分補給をしよう

特集 No.181 2022年7月発行

 水分について

私たちの体は、体重の50~70%ほどを水分が占めています。

水分は体内で様々な役割をしており、生きていくために「水」は欠かせないものです。
体の中の水分が不足すると、熱中症、脳梗塞、心筋梗塞など、様々な健康トラブルを起こす可能性があります。
これら脱水による健康トラブルや重大な事故などの予防には、こまめな水分補給が大切です。

 1日に必要な水分

人の体は尿や便、呼吸や汗などによって、1日におよそ2.5Lの水を排出しています。
そのため同量の水分が必要になりますが、食事から1L、体内で代謝によって作られる最低量の水が0.3Lほどあるので、目安として1.2Lほどは飲み水として摂取しなくてはなりません。

ただし、運動や温熱環境のために発汗量が多いときには、その分、水分を多く摂る必要があります。

 水分補給のタイミング

水を一度にたくさん飲んでも十分に吸収することができませんので、1回にコップ1杯(150~250mL)程度に飲む量を分けてこまめに摂取することが大切です。
のどが渇いたと感じるときにはすでに体は脱水状態になっていることがありますので、飲むタイミングを決めておくのが良いでしょう。

おすすめは以下の4つのタイミングです。

  • 起床時/就寝前

    寝ている間に汗などで失った水分を補給するため起床時にコップ一杯の水を飲みましょう。就寝中の脱水状態を予防するために就寝前の水分補給もおすすめです。

  • 運動中や前後

    運動中は汗などで普段よりも体内の水分が多く失われます。運動開始前、運動中は15~30分に1回くらい、運動後に数回コップ1杯程度の量ずつ水分補給をしましょう。

  • 入浴前後

    入浴中に体の水分が失われるので入浴の前後で意識的に水分補給するのが良いでしょう。

  • 飲酒時

    お酒を飲むと利尿作用で水分が排泄され、さらに体内でアルコールを分解するために水が使われるので、その分の水分補給が必要になります。

 水分補給に適した飲み物

普段の水分補給には水がおすすめです。


アルコールや多量のカフェインを含む飲み物(コーヒーなど)は利尿作用があり、体内の水分を排泄してしまうため、水分補給には適しません。

糖分を多く含む清涼飲料水は、飲み過ぎると血糖値が上昇することもあり注意が必要です。

水であれば余計なカロリーを取ることがなく普段の水分補給ができます。

水だけでは味気ないというときは、麦茶やそば茶のようにカフェインが含まれていないお茶も良いでしょう。


運動時は汗をかきやすく、普段より多くの水分やミネラルが失われるため、長時間の運動時にはある程度塩分が含まれるものが効果的です。

市販のミネラルウオーターやスポーツドリンクなどを飲むのも良いでしょう。

ただし、発汗や疲労がないのにスポーツドリンクを多量に飲んでいると塩分や糖分の摂りすぎになってしまうことがあるので気を付けましょう。

 水分補給のポイント

・1日の水分補給の目安は1.2L以上を少量ずつこまめに摂る

・のどが渇いたと感じる前に補給する

・水分補給に適したものを飲む

特に夏場の暑い時期は、発汗によって脱水が起きやすいので水分補給を意識しましょう。
運動などで特に汗をかいた時は塩分も摂るようにしましょう。

水分補給は大切ですが、腎臓や心臓の疾患の治療中で、水分制限が必要な場合があります。
医師から水分や塩分の摂取について指示がある場合は、その指示に従ってください。

また、水分量が多すぎると血液中の塩分濃度が低下し過ぎてしまい、水中毒を起こすこともあるので飲みすぎには気を付けましょう。

(薬剤師 石川 知樹)

脱水には経口補水液が良いと聞いたけど、どういうもの?

脱水には経口補水液が良いと聞いたけど、どういうもの?

経口補水液は、水とナトリウムなどのミネラルとブドウ糖を体液に近くなるように一定の割合で配合したもので、効率よく水分を吸収することができます。
吸収が早いので発熱や暑さによる大量の発汗や、下痢や嘔吐による脱水症状に適しています。
スポーツドリンクに比べて糖分は少ないですが、塩分がより多く含まれています。
1日に摂取する量が決められているものもありますので日常的に飲むには注意が必要です。
経口補水液は家庭でも水500mLに塩1.5g(小さじ1/4)と砂糖20g(大さじ2強)を混ぜることで作ることができます。
家庭で作る経口補水液は雑菌が混入しやすいので作った日のうちに飲みきるようにしましょう。

(薬剤師 石川 知樹)

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