口腔の機能
秋はたくさんの食材が旬を迎えることから「食欲の秋」と言われますね。
今回はそんな「食」と密接な関わりを持つ口腔(こうくう)のお話です。
口腔には、食べる機能や、会話をしてコミュニケーションを取る機能などがあります。
食べるためには、歯で食物を噛み(咀嚼:そしゃく)、飲み込む(嚥下:えんげ)という一連の動作が必要になります。
1. 咀嚼
口の中に入った食べ物は、口唇・舌・頬・歯の協調的な動きにより細かくされ、飲み込むことで消化管に運ばれます。
口腔内で食物が粉砕されることで食物は嚥下しやすく、消化されやすくなります。また、噛むことはあごの骨や周囲の筋肉を発達させます。
2.味覚
味覚(みかく)は五感の一つで、おもに舌上面にある味蕾(みらい)と呼ばれるセンサーで受け取った味覚情報が脳に伝えられます。
味は甘味・酸味・塩味・苦味・うま味の5つがあります。
食物の美味しさを決定する要因には、味以外にも、におい・歯触り・舌触り・温度・色・体調などがあります。
このように味覚以外の嗅覚・視覚・記憶などの要素で拡張された感覚は風味と呼ばれ、その認識の過程を「味わう」と言います。
3.唾液
唾液には、次の機能があります。
唾液中のリゾチームは細菌の活動を抑える働きがあります。
またペルオキシダーゼは、発ガンや老化、動脈硬化の原因となる活性酸素を消す作用を持っています。
さらに唾液中に分泌されるホルモンの一種パロチンは老化防止効果をもつ物質として知られています。
このような多種多様な働きを持つ唾液ですが、年齢による唾液分泌量の低下や糖尿病・自己免疫疾患、さらにストレスによって減少することが知られています。
大唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)マッサージをすることで唾液の分泌を促しましょう。
それでも改善しない場合は専門医へ相談してください。
なお、飲んでいる薬の影響で唾液の分泌量が減ることもあるので心配な方は医師・薬剤師へ相談しましょう。
唾液腺マッサージで口に潤いを
唾液によって口腔内が潤うことは、体全体の健康にも良い影響を与えます。
特に高齢者の方は、唾液の分泌量が低下するため、意識的に唾液腺マッサージを継続することをおすすめします。
(薬剤師 佐々木 康行)
口内炎の原因は?
口内炎の原因は?
口内炎はウィルスやカビが原因のもの、外的な刺激によって粘膜が傷ついてできるもの、喫煙が原因のものなど数種類あります。
しかし、最もよくみられる口内炎はアフタ性口内炎と呼ばれ、いまだにその原因は明らかになっていません。
ストレスや睡眠不足による免疫力の低下、ビタミンB2欠乏の栄養不足などが関係していると考えられています。
アフタ性口内炎は通常長くても2週間前後で自然に消滅してあとは残りませんが、それ以上痛みが続くようであれば歯科・耳鼻咽喉科などの専門機関を受診しましょう。
(薬剤師 佐々木 康行)
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