ポリファーマシーとは

特集 No.185 2023年3月発行

「ポリファーマシー」という言葉をご存知でしょうか?

「ポリファーマシー」とは、たくさんの薬を服用することで発生する種々の問題のことをいいます。


ではたくさんの薬っていくつから?と考えられると思います。


厚生労働省の見解では「ポリファーマシーは、単に服用する薬剤数が多いことではなく、それに関連して薬剤服用後に起こる不具合のリスク増加、薬の飲み間違いや、飲み忘れ等の問題につながる状態であり、何剤からポリファーマシーとするかについて厳密な定義はなく、患者の病態、生活、環境により適正処方も変化する」と説明されています。



一般的に、年齢を重ねていくと複数の病気にかかるリスクが高まるため、高齢者では処方される薬剤数が多くなる傾向にあります。
実際に「70歳以上の高齢者では平均6種類以上の薬を服用していた」という調査結果があり、そして「薬が6種類以上になると副作用を起こす人が増える」というデータも報告されています。また、服用する手間という意味でも患者さんに不利益をもたらしかねません。


そして年齢を重ねていき腎臓や肝臓の機能が悪くなると、薬物の代謝・排泄が低下して、今までは副作用が出なかったものが急に症状として現れることもあります。

ポリファーマシーになりやすい状態と問題点

ポリファーマシーになりやすい状態と問題点

  • 複数の医療機関を受診する
  • 服用薬剤数が増える
  • 高齢になると、生理機能が低下してくる
  • 飲み合わせの問題


ただし、薬の数が多いと自己判断してしまい薬の服用を勝手に中止すると病気が悪化することがあるので避けましょう。
薬の服用に不安を感じることがあれば必ず医師や薬剤師に相談しましょう。

医師は患者さん一人一人の症状や体の状態、生活環境、嗜好、考え方、性格、合併症や服用している薬を総合的に考えたうえで治療を行っています。個々人に合った薬物治療の決定が必要であるため、服用する薬の最終的な判断は、医師の診断によって行われます。
医師とよく相談のうえ、きちんと薬を服用することが大切です。

ポリファーマシーを防ぐ方法

ポリファーマシーを防ぐ方法

  • 複数の病気で別々の医療機関を利用している場合、それぞれの医療機関で必ず服用中の薬を伝えましょう。また、飲み合わせの問題もありますので、お薬手帳は必ず医師・薬剤師にみせましょう。
  • 継続的に服用している薬がある場合、効果を感じているかどうかや症状が落ち着いたかどうか等をしっかり医師に伝えましょう。
  • 薬の飲み忘れや飲み間違いがある場合、医師・薬剤師に相談しましょう。
  • かかりつけ医・かかりつけ薬剤師を持ち、気軽に相談できる環境を整えましょう。

(薬剤師 山本 亘汰)

家に残っている薬(市販薬やサプリメント含む)等はどうすればいいの?

家に残っている薬(市販薬やサプリメント含む)等はどうすればいいの?

継続的に処方されている薬であれば次回受診時に残っている薬を持参し、医師または薬剤師に相談してください。
残薬にあわせて整理できます。
また以前もらった薬等も薬局に持参していただければ、薬の用法や使用期限、薬同士の飲み合わせに問題がないかなどお調べいたします。
詳しくはかかりつけ薬剤師・薬局へ相談しましょう。

  • 家に薬が余っている…昔もらったこの薬は、なんの薬?
  • 余った薬をお薬手帳と一緒にご持参ください。
  • 残薬にあわせて整理、薬の用法や飲み合わせなどをお調べします。

(薬剤師 山本 亘汰)

※記載された情報は発行日時点の情報です。
ご覧になった時点と情報が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。