秋のむくみについて

特集 No.188 2023年9月発行

残暑が続くものの、朝晩は肌寒いこともある初秋。寒暖差のある季節の変わり目は、むくみが出やすいとも言われています。

むくみをそのまま放っておくと、代謝が低下したり、皮下脂肪や老廃物がかたまりとなったセルライトができてしまいます。

むくみを感じたらしっかりケアをして、身体の血液のめぐりをよくすることが大切です。


「秋のむくみ」の原因は?


人間の身体は約60%が水分でできています。

この水分は血液やリンパ液として体内をめぐり、全身に必要な栄養素を届け、老廃物を排出する働きをしています。
しかしその働きが滞ると、細胞の間に水分がたまり、むくみが起こります。


むくみといえば、血行や代謝が悪くなる寒い季節に起こりやすいイメージがあるかもしれません。しかし秋のはじめも要注意です。

この時期ならではの気候や夏の間の生活習慣がむくみにつながる可能性があるからです。


夏を引きずった生活やファッション

過ごしやすい秋とはいえ、まだ汗ばむ日もあり、夏を引きずった生活や服装を選びがちです。

夏の感覚のまま冷たい食べ物や飲み物を取りすぎたり、サンダルで過ごしていると身体が冷えて血行が悪くなります。

また、夏の間シャワーだけで湯船に浸からない生活をしていて、秋になっても続けていると、どうしても身体が温まりきらず血行が悪くなってしまいます。


冷房や気温の変化による身体の冷え

冷房の効いた室内で長時間過ごしていると、体温調節に関わる自律神経のバランスが崩れ、身体が冷えて血行不良となります。

秋口は1日のうちの寒暖差が大きく、日中は汗ばむくらい暑くても、朝晩は冷え込むことがあります。

すると冷房による冷えに気温の低下が加わって血流が悪化し、身体がむくみやすくなります。


水分の摂りすぎによる体内の水分バランスの乱れ

人間の身体は本来、摂取した水分を汗や尿として排出することで体内の水分バランスを保っています。

しかし秋口は夏場ほど汗をかかないため、夏場と同じ量やペースで水分補給をしていると体内の水分が増え、むくみにつながることがあります。

また暑さからよく冷えた飲み物を口にすることも多いでしょう。

内臓の冷えは血流の悪化や代謝の低下を招き、むくみの原因となります。


食欲の秋

美味しい食べ物が豊富な秋は、つい食べ過ぎてしまいますが、栄養バランスの乱れもむくみの原因の一つです。

また、食べ過ぎたからと無理なダイエットをしてしまうと、体内の水分調節に必要な栄養素が不足して、こちらもむくみの原因となります。

いずれにしろ栄養バランスの良い食事を取ることが大切です。

 解消法


簡単なマッサージでむくみを解消

むくみを感じたら簡単なマッサージでケアをしましょう。

入浴中やお風呂上がりに、身体が温まった状態で行うのがおすすめ。腕は手首から肘、脇に向かってマッサージします。

足は、足首から膝にむけ、両手でふくらはぎを包み込むように軽くさすります。

太ももの付け根や膝裏のリンパ節も刺激するとリンパ液が流れやすくなり、余分な水分や老廃物の排出が促されます。

またシャワーだけで済ませずしっかりお湯に浸かって身体を温める事も、むくみを解消するために重要です。

38~40度くらいのぬるま湯にゆっくり浸かれば、自律神経が整い、血行が促されます。

疲れもストレスも解消されて、睡眠の質もよくなります。半身浴もおすすめです。


脚のマッサージ方法

食生活の工夫で身体の内側からむくみ対策


むくみは身体の冷えと体内の水分バランスの乱れによって起こります。むくみを解消するためには、食生活に気を配ることも大切です。


●むくみ対策に効果的な食べ物
体内の塩分を整え、過剰な場合は排出を促す「カリウム」はアボカド、バナナ、海藻類などに多く含まれています。
脂肪の代謝を高め、老廃物を分解、排出する働きがある「クエン酸」はレモン、グレープフルーツなどの柑橘類、トマトなどに。
体内のナトリウム排出を促す「ビタミンE」はナッツ類、卵などに多く含まれています。

※カリウムが高いと医師から指摘があったり、カリウム制限がある方は摂取量に注意しましょう。またグレープフルーツなどの柑橘系と薬の飲み合わせが悪い場合があるため注意が必要です。

適度な運動

血流を良くするためには筋肉を動かすことが必要です。
特に足の筋肉は、血液を心臓に戻すポンプの役割をしているため、筋力が低下すると血液の流れが停滞し、むくみやすい部分です。
立ち仕事や通勤時にかかとを上げ下げしたり、デスクワーク中なら足首を曲げ伸ばしするなど、足のポンプ作用を働かせるだけでもむくみ軽減や解消につながります。


水分補給は常温かホットで

夏ほど汗をかかないとはいえ、秋も適度な水分補給が必要です。
身体を冷やさないよう、飲み物は常温かホットで取り入れるようにしましょう。

(薬剤師 澤野 真優)

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