花粉症とは

特集 No.191 2024年3月発行

私たちの体は、花粉という異物(アレルゲン)が入ってきたときに花粉をできる限り体の外に出そうとするために、くしゃみで吹き飛ばしたり、鼻水・涙で洗い流したり、鼻づまりで中に入れないように防御するといった症状が現れます。


このように植物の花粉が原因で生じるアレルギー症状を「花粉症」と呼びます。医学用語で、「季節性アレルギー性鼻炎」とも呼ばれます。

北海道で見られる主な花粉


春にハンノキ、シラカバなど、夏にカモガヤなどのイネ科、秋にヨモギの花粉が多く飛散します。
特に春から夏にかけて花粉が多く飛散します。

本州ではスギ花粉が多いですが、北海道ではスギの分布が道南の一部に限られておりスギの花粉症患者は少ないです。

ハンノキ
(3月~5月)

北海道ではハンノキは積雪の残る3月から花粉を飛散させます。ハンノキは、シラカバと同じカバノキ科に属する植物であり、共通の抗原性を持っているため、シラカバ花粉症の人の中にはハンノキの花粉でも症状が出る人がいます。

シラカバ
(4月下旬~6月)

北海道ではスギ、ヒノキの花粉症がほとんどない代わりに、シラカバ花粉症が多くみられ、患者さんも徐々に増えています。シラカバ花粉症の人の中には、リンゴやサクランボやキウイなどの果物を食べると口の中がかゆくなったり腫れたりなどの果物過敏症がでることがあるのも特徴です。

イネ科
(カモガヤ 5月~6月、オオアワガエリ 6月~8月、
 ススキ 8月~9月など)

牧草地や道端や空き地など様々な場所に見られます。シラカバなどの木に比べると背丈が低く、花粉の飛散する範囲は狭くなるため、飛散する時期に生えている場所に近づかなければかなり花粉を避けることができます。

ヨモギ
(8月~9月)

ヨモギは秋の代表的な花粉症の原因植物です。こちらも背丈が低いので生えている場所に近づかなければ花粉を避けることができます。

花粉症の対策と予防

花粉症の対策は花粉との接触をできるだけ避けることが大切です。
以下のようなことを注意すると良いでしょう。
  • 花粉が多く飛んでいる時期は、外出時にマスク、メガネ、帽子を身に着ける。
  • 花粉がつきにくいようなツルツルした素材の衣類を着用する。
  • 帰宅時は家の前、あるいは玄関で衣類についた花粉をよくはらい、洗顔や手洗い、うがいをして鼻をかむ。
  • 花粉が多く飛んでいる日は布団や洗濯物を外に干さない。

薬物療法

花粉症の治療は薬を使った対症療法が基本になります。
主に次のような薬が使われます。
  • 抗ヒスタミン薬
    アレルギー反応を起こすヒスタミンの働きを抑えて、くしゃみや鼻水、鼻づまりといった症状を抑えます。(フェキソフェナ
    ジン、エピナスチンなど)
  • 抗ロイコトリエン薬
    ヒスタミンと同じようにアレルギー反応を起こすロイコトリエンの働きを抑えます。
    ロイコトリエンは特に血管を拡張させる作用があり、鼻づまりが強いときに使います。(プランルカスト、モンテルカスト)
  • 抗ロイコトリエン薬点鼻噴霧用ステロイド薬
    炎症を抑える働きがあり、くしゃみや鼻水などの鼻の症状が強いときに使います。(フルチカゾンプロピオン酸エス
    テル点鼻液など)
  • 漢方薬
    上記の薬で効果が十分でなかった時や、抗ヒスタミン薬で眠気が出るようなときに使いやすいです。
    水のようなサラサラした鼻水には小青竜湯などを使い、鼻づまりのときには葛根湯加川芎辛夷などを使います。

花粉症は症状が現れる1~2週間前から薬を服用することで症状を抑えることができます。

花粉症を心配される方は早めに専門医(耳鼻咽喉科、アレルギー科)に受診するのが良いでしょう。

(薬剤師 四方 晴美)

風邪かと思っていたけど花粉症かも?区別の仕方はありますか。

風邪かと思っていたけど花粉症かも?区別の仕方はありますか。

花粉症の4大症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみです。


特に目のかゆみは風邪と花粉症を見分けるポイントになります。その他、くしゃみが出始めると連発する、さらっとした鼻水が出続ける
という症状が2週間以上続く場合は花粉症の可能性が高いでしょう。


風邪のくしゃみは何回も連発するというのはまれで、鼻水は黄色っぽくて粘り気があることが多いです。


鼻の症状だけでなく、のどの腫れや痛み、咳や痰、悪寒や発熱がある場合は風邪の可能性が高いでしょう。

(薬剤師 石川 知樹)

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