嚥下(えんげ)について

特集 No.192 2024年5月発行

「嚥下(えんげ)」とは、食べ物を食べる時、口から胃に食べ物を運ぶ一連の動作のことです。

口から入った食べ物は咀嚼(そしゃく)されてだ液と混ざり、食塊(しょっかい)と呼ばれる飲み込みやすいかたまりになります。

食塊が形成されると飲み込みの反射が起こり、食塊が食道を通過します。

この時、喉頭蓋(こうとうがい)が気管の入り口を塞ぐことで、食塊が気管に入らず食道へ流れます。



嚥下障害の症状と原因


嚥下一連の動作ができなくなることを嚥下障害と言い、特に食べ物などが誤って気管に入ることを「誤嚥(ごえん)」と呼びます。

以下のような症状が出てきたら、嚥下障害の可能性があります。


  • 食事の時にむせやすい
  • 食事が喉につかえる
  • 食事に時間がかかる
  • 食事が上手くとれないために体重が減る
  • 食事の後に喉が「ゴロゴロ」する(湿った感じの声がれがする)

嚥下障害には多くの原因が考えられますが多いのは加齢によるものです。

年齢を重ねると筋肉や神経、認知の働きが低下し、歯の不具合も多くなり、総合的に食べる力が弱くなります。

嚥下障害時の服薬について


薬の飲み込みがうまくいかない方は下記の方法を試してみてください。


  • 服薬ゼリーやオブラートを使う
  • 服薬時の飲水でむせる時は、水分にとろみを付ける
  • 簡易懸濁法。とろみが必要な方はとろみ剤も使う

簡易懸濁法とは、錠剤やカプセル剤を粉末状にせず、そのまま55℃程度のお湯に入れ懸濁させてから飲む方法です。

簡易懸濁法が使えない薬もあるので詳しくは医師・薬剤師にご相談ください。

嚥下障害時の予防


嚥下障害の予防のためには、嚥下に関わる首や肩、胸郭、口腔器官の運動が有効です。

嚥下を行いやすくするための体操を紹介します。毎食前1 セットを目安に行います。




慢性的な首の痛みがある方やめまいが起こりやすい方は首の運動は控えた方がいいでしょう。

また食欲不振が続いている方や誤嚥性肺炎を繰り返している方はかかりつけ医の指示に従いましょう。

(薬剤師 佐々木 康行)

加齢以外でも嚥下障害は起こりますか?

加齢以外でも嚥下障害は起こりますか?

口内炎や咽頭炎、舌炎、食道がんといった炎症や腫瘍など飲み込む動作に必要な器官に問題が出ることによって、食べ物の通り道をふさいで
しまい嚥下障害が起こることがあります。

また、脳卒中やパーキンソン病などの病気によって筋肉や神経がうまく働かず、嚥下機能が衰えることもあります。

この他に向精神薬などの影響で各器官の働きが悪くなる場合もあります。

気になる症状がある場合は医師に相談しましょう。


なお、よく噛まないで食べるとだ液と食物がよく混ざらず喉のあたりで食物がバラバラになり誤って気管に入りやすくなります。

年を重ねると徐々にだ液の量が減るため、良く噛んで食べることも心がけましょう。

(薬剤師 佐々木 康行)

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