腎臓のはたらきについて

特集 No.204 2026年5月発行

腎臓は腰のあたりに左右対称に2個あり、そらまめのような形をした臓器で、 体内の老廃物の排出や水分量、ミネラル等のバランスを調整しています。

近年、日本では慢性腎臓病の患者さんが2000万人いると推定され、新たな国民病として注目されています。
慢性腎臓病とは主に腎臓の機能が低下した状態のことをいいます。


腎臓は沈黙の臓器とも呼ばれ、慢性腎臓病は初期症状がほとんどないまま徐々に進行していきます。


ある程度進行してしまうと腎臓の機能はもとに戻らないため定期的な検査を行うことが重要です。


高血圧、糖尿病、肥満などの生活習慣病は腎機能低下に繋がるため、食事、運動など生活習慣を見直し、予防に努め健康寿命を延ばしましょう。

腎臓のはたらきとは?


尿をつくる

血液をろ過して老廃物や余分な塩分を尿として排出します。

ろ過を行う糸球体に血液が流れ込み、ナトリウムやカリウム等のミネラル、糖、アミノ酸、ビタミン等がろ過されます。毎日150Lほどろ過されますが、身体に必要なものまで排出されてしまわないように約99%が再吸収され、残り1%が尿になります。

血圧を調整する

塩分と水分の排出量をコントロールして血圧を調整しています。
血圧が高いときは塩分と水分の排出量を増加させて血圧を下げます。

ホルモンを作る

血液の成分である赤血球は、骨髄の中にある細胞から作られます。
腎臓はエリスロポエチンというホルモンを分泌し、赤血球の産生を促して貧血を防ぎます。

体液量・ミネラルバランスを調整する

尿量を調整して体内の水分量を一定に保ちます。また生命活動を維持するのに必要不可欠なミネラル濃度を精密に調整します。
ミネラルは骨や歯の形成、神経や筋肉の機能維持など様々な場面で活躍しています。代表的なミネラルにはカルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、亜鉛などがあります。

骨を強くする

ビタミンDから活性型ビタミンDを産生します。
活性型ビタミンDは腸からカルシウムの吸収を促進したり、骨の代謝の維持に関与します。

腎機能はどのように調べるの?


腎機能は血液検査で確認することができます。


eGFR(推算糸球体ろ過量)
  • 腎臓にどれくらい老廃物を尿へ排出する能力があるかを示します。
    男性、女性も60ml / 分/1.73㎡未満だと腎機能が低下していると推定されます。
S-Cr(血清クレアチニン)
  • クレアチニンは筋肉を動かすためのエネルギー源であるクレアチンが代謝された後の老廃物です。

    腎機能が低下するとクレアチニンを十分に排泄できなくなり血液中に溜まっていきます。

    基準値はおおよそ男性が0.61~1.04mg/dL、女性は0.47~0.79mg/dLとされています。

eGFR、S-Crともに筋肉量に影響されるため、体格、年齢、性別、日常生活で体を動かす量を考慮して判断する場合もあります。

腎臓が悪くなるとどのような症状が起こるの?


浮腫み
腎臓から水分を十分排泄できなくなり、体内に余分な水分が溜まります。


尿の変化
健常成人の尿量はおよそ1.0~1.5L/日ですが、尿の濃縮力が低下して多尿となり夜間頻尿になることがあります。
また、尿にタンパクが出やすくなり、尿が毎回泡立つことがあります。


貧血
赤血球の産生を促進するホルモンであるエリスロポエチンの分泌量が減少し、赤血球の産生能力が低下します。
その結果腎性貧血を起こし、動悸や息切れ、めまいや倦怠感などの症状が現れます。


皮膚のかゆみ・乾燥
体内の老廃物が血液や皮膚に溜まってしまい、かゆみや乾燥を引き起こすことがあります。


骨ミネラル代謝異常
ビタミンDから活性化ビタミンDに変換できる量が減り、カルシウムの吸収が減ることで骨折のリスクが上がる可能性があります。

腎機能の悪化を予防するためには?


腎機能は加齢と共に徐々に低下していきますが、慢性腎臓病の発症・進行を抑えるには日々の生活習慣を整えることが重要です。


禁煙
喫煙は慢性腎臓病の発症・進行に関与していると考えられています。


飲酒を控える
過度な飲酒は危険因子となりうるので飲みすぎには注意しましょう。


塩分制限
塩分過多は高血圧に繋がります。
高血圧はさらに腎臓に負担をかけるため塩分の摂りすぎに注意しましょう。


運動
適度な運動は肥満や高血圧の改善を促す効果が期待できます。
ウォーキングやスクワットが有効ですが難しい方はラジオ体操など可能なものから始めてみるとよいでしょう。


ストレスを溜めない
ストレスも危険因子となりうるので過労を避け、睡眠を十分にとりましょう。


(薬剤師 福與 珠緖)

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